ロボット産業は、製造業などの産業用から民生・サービス業などに用途を広げており、今後市場の拡大が期待されている。経済産業省とNEDO(新エネルギー・産業技術開発機構)によると、ロボットの国内生産の規模は、2015年に1・6兆円、20年に2・9兆円、35年には9・7兆円まで拡大すると予測している。特に今後、フィールドロボット市場と言われる屋外用途の建設・土木、社会インフラ、プラント保全、農業、原子力などでの活用が見込まれている。
NEDOは世界初の「NEDOロボット白書2014社会を変えようとするとき、そこにロボット技術がある!」をまとめた。
少子高齢化によるさらなる労働力不足や熟練工の減少、人件費の上昇などを背景に、ロボットを活用する取り組みは増加傾向にある。
白書では最近のロボット利用の代表的な事例として、ロボットスーツによる介護作業支援やリハビリ利用、掃除用ロボットによるオフィスビルの掃除ビジネス、セラピーロボットによる医療支援、災害ロボットによる危険場所支援、ロボットカーによる無人走行と配送、病院内業務全体のロボット代行などを新しいコンセプトによるロボット活用例として挙げている。
こうした新用途を含め、ロボットの国内生産量は15年に1・6兆円、25年に5・3兆円、そして35年には現在の約10倍の9・7兆円まで拡大すると予測している。
この中で、フィールドロボット市場は、安心・安全の確保、少子高齢化、環境保全などの様々な課題を解決できる社会づくりに新しい展開をもたらす上で重要だとしている。
経済性の向上のためのフィールドロボットとして建設ロボットを例に挙げ、建設機械のデュアルモード化が実現することで、稼働率が高まり、緊急時には災害ロボットとして活用することもできるとしている。
危険回避のためのフィールドロボットとして、福島第1原子力発電所の廃炉作業を例に、長期的な観点に立った継続的な活用組織の実現に向けた活動が重要になってくるとしている。
さらに、社会創造のためのフィールドロボットでは、労働人口減少の中で過疎と集中という課題解決・支援に大きな役割を果たすと指摘。
無人自動車などフィールドロボットを活用することで、限界集落などの対策にも一石を投じることにつながることを期待している。