日本政策投資銀行は、2014年度版の国内企業の設備投資計画をまとめた。
それによると、大企業(資本金10億円以上)の14年度国内設備投資額は、製造業(18・5%増)、非製造業(13・2%増)とも増加し、全産業で15・1%増と3年連続の増加となる見通しとなっている。
企業の考える中期的な期待収益率は13年、14年と改善基調にあり、昨年来見られていた設備投資に対しての前向きなマインドが持続している。
製造業では高機能製品向けなどへの投資が増加しており、一部では国内におけるグローバルな供給体制やサプライチェーンにおける開発・供給拠点としての機能などを再評価する動きがみられる。
業種別では、紙・パルプを除くすべての業種で設備投資額が前年を上回る。化学は航空機・エコカー向けや電子・電池向けなどの高機能部材、自動車はエコカー関連の技術開発や基幹部品生産設備への投資など、鉄鋼は品質や生産性向上のための投資などで増加している。
投資動機を見ると、「生産能力増強」よりも「既存設備の維持・補修」への投資シフトが進んでいる。リーマンショック後この傾向は一貫しており、「能力増強」(10年30・0%↓14年20・9%)、「維持・補修」(10年20・3%↓14年27・3%)で推移している。13年度以降は「維持・補修」が「能力増強」を上回り、1位の設備投資動機となっている。
また、非製造業は、鉄道の車両更新や安全対策のほか、航空機材や船舶の取得など運輸が増加し、都心部で大型開発が継続する不動産、コンビニの新規出店などが継続する卸売・小売も増加している。
一方、海外設備投資は、非製造業では11・4%増の計画だが、製造業においては、自動車の投資が一服するほか、化学や非鉄金属で大型案件の中止などがあるため、5年ぶりに減少に転じる(1・6%減)。
製造業の中期的な供給能力見通しは、海外生産を重視する傾向は続くものの、国内供給能力を増加させる動きも見られる。企業が国内に残すべきと考えている機能は、本社機能に加えて、研究開発機能やマザー工場としての機能が挙げられる。
成長・競争力強化の取り組みとしては、製造業は生産設備への投資と同程度に研究開発が重要との認識。マザー工場で行う新製品の開発・設計が注力分野と位置づけられている。