端子台やコネクタなどの配線接続機器は、機械や装置のインターフェイスを担う機器として大きな市場を形成している。工作機械や半導体製造などのFA分野を中心に幅広く採用されており、最近では、PV(太陽光発電)や風力発電など再生可能エネルギーの普及に伴い、DC(直流)の高圧化に対応する高耐圧の端子台も数多く発売されているほか、電力などのエネルギー関連や鉄道車両分野でも機能をアップした端子台が多数採用されている。国内の市場規模は、端子台が約450億円、コネクタが約4700億円となっており、特に、昨年後半から大きな需要先である工作機械分野や半導体製造装置分野の設備投資が活発になっている。
端子台、コネクタ、配線資材などの配線接続機器市場は、経済産業省の機械統計によると、コネクタは12年が4707億円(同6・4%増)、13年が3990億円(同15・2%減)となっている。端子台の市場は約450億円、ケーブルアクセサリー関連は約70億円と推定される。
NECA(日本電気制御機器工業会)の制御用専用機器の出荷統計は、13年度は1208億円(同13・1%増)と大きく伸長、14年度も第1四半期は340億円で、前四半期比18・1%増、前年同期比も9・0%増で推移している。
昨年から工作機械や半導体製造装置関連の設備投資が活発で、配線接続機器の需要も急速に増加している。日本半導体製造装置協会によると、13年度の半導体製造装置の販売高は1兆4763億円(同19・3%増)と大幅に増加、14年度もメモリメーカーの設備投資の再開、さらにロジックメーカーの底堅い投資で0・6%増を予測している。
工作機械も国内の自動車関連の好調を受け、日本工作機械工業会出荷も、過去最高をクリアするような力強い勢いで拡大している。
■再生可能エネ関連需要が急伸
再生可能エネルギー周辺の需要も急速に伸びている。再生可能エネルギーを商用電気として使用するには、DCとAC(交流)を変換することが必要で、DC600VといったDC高圧化への対応が求められる。DCは、電流が大きく流れている中で強制的に遮断しなければならず、この分野でのDC対応端子台は、高圧による耐性が必要となってくる。最近では、DC1000V、DC1500Vに対応する端子台とともに、開閉機能も持たせた接続箱用の端子台が発売されているほか、コネクタについても高圧化への対応が進んでいる。
さらに産業分野、民生分野問わず「省エネ・蓄エネ・創エネ・活エネ」をテーマとした製品やシステム、これらに呼応するエネルギー・マネジメント・システムの普及などで、新しい市場も形成されつつある。
また、スマートシティ構想から発展し、狭い地域での電力の自給自足や分散型電源などによるマイクログリッド構想や、電力をはじめとする社会インフラ整備に伴う需要、鉄道車両向けの高機能端子台も鉄道会社からの受注が増えており、配線接続機器市場の新しい市場形成につながっている。
一方、樹脂や金属など配線接続機器の原材料面に関しては、昨年が原料のナフサ上昇に加え、年初からの急激な円安から、一部で製品値上げの動きが出ていた。今年は4月に消費税が増税されたことで、一部で製品値上げもされたが、現在は、落ち着いた値動きになっている。
■端子台、国内ではネジ留め式が主流
端子台の性能面では、薄型化や省スペース化、インテリジェント化、狭ピッチ化、再生可能エネルギー分野ではDC高耐圧化などが進んでいる。取り付け方法では、プリント基板取り付けから、DINレール取り付け、直付けなど、用途によって使い分けされている。
国内では、圧着端子を使用したネジ留め式が主流となっている。ネジとバネを一体化することで、配線作業時にネジが保持され、仮留めできることから配線作業性の向上につながっている。バネ式端子台は、長期間の振動にも強く、振動によるネジの緩みもないので、鉄道など輸送機器・設備に採用されている。
一方、圧着端子を使用せず、配線をそのまま端子台に差し込んで配線する欧州式端子台も市場が急速に拡大している。配線時の被覆作業が省け、振動などによる接触不良がないことから需要が拡大している。
最近は市場のグローバル化もあり、欧州式端子台の採用が自動車、工作機械、半導体製造装置、食品機械、船舶、信号、電力など分野が広がって来ており、しかも従来、国内向けと輸出向けで端子台を使い分けする傾向が多かったが、国際標準化の流れもあり、欧州式端子台に一本化する傾向が強まっている。生産コストの削減や在庫管理上からも有効となっている。
欧州式端子台用の配線工具も充実してきている。電動式なども登場して、作業の負担軽減へ積極的に取り組んでいる。
欧州式端子台は、これまで小電流タイプが多かったが、最近は1500V/200Aクラスの高電流用途でも使用できる製品が発売されており、1000Vクラスでも採用が進んでいる。さらに、メガソーラーなどのDC用途で使用できる、定格絶縁電圧1500Vクラスで開閉可能な製品も発売されている。
メンテナンスの省力化と安全の確保から、電流容量の区分や回路のグループ分けなどに端子台のカラー化で対応するケースが増えている。
■スタッド形は省力化に効果
配線作業の容易化・省力化に効果の高いスタッド形端子台の需要も増えている。スタッド形端子台は、配線作業が容易で作業の省力化が図られるとともに、配線効率が高いのが特徴である。加えて、挟み込みなどの接続不良を未然に防止できる。端子間ピッチ8ミリという、スペース効率の向上を図った断路端子台も各種のプラントで採用されている。メンテナンスを容易にする点では、LED搭載タイプは長寿命であり、取り替える期間が長くメンテナンス性に優れる。過酷な環境で使用する端子台は、材質に耐油・耐薬品性の高いものを使用し対応を図っている。
また、端子台のさらなる軽量化とコスト低減を図るため、端子部にアルミニウム合金を採用したアルミ端子台もある。端子部を従来の銅合金からアルミ合金にすることで、端子部の重量を10%から30%軽量化できる。コストもアルミの原材料価格は、銅よりも安く安定している。性能面でも熱伝導性と放熱性に優れ、腐食しにくいアルミ電線の配線にも適しており、様々な産業分野で使用できる。
■コネクタ、ポリアミド剤で頑丈なハウジングを実現
コネクタは、自動車や鉄道車両、放送機器、電話などの通信機器、事務機器、家電、ゲーム機器など幅広い分野で使用されている。
中でも工作機械やロボットなどの産業機器、鉄道や放送など社会や業務用分野では、大電流で、しかも厳しい使用周囲環境にも耐える仕様が要求されている。こうした堅牢ニーズに対応したコネクタは、一般的に金属製のハウジングが多いが、これをポリアミド材で成形しながら頑丈なハウジングを実現した製品も登場している。金属製に比べ軽量で、コストパフォーマンスも高いことから、今後採用が増えてくるものと思われる。
安全ニーズに応えたセーフティタイプのコネクタも浸透している。配線の接続作業時や計測作業時、不用意な接触事故などを未然に防ぐ構造となっており、工場のほか研究室、学校など様々な分野で使用されている。
そのほか、コネクタの配線ネジ締め作業が従来に比べ90%削減できる製品も登場している。コネクタのネジ部を半回転させるだけで作業が完了するため、配線作業の省力化に大きく貢献する。
■ケーブルアクセサリ、改良進むチューブマーク
ケーブルアクセサリーは、端子台やコネクタなどと一体となって使用されることが多く、陰で役割を果たしている。
最近注目されているアクセサリーとして、チューブマークがある。配線の線番などを表示するチューブマークであるが、取り付け後にずれたりするのが課題のひとつになっていた。特に棒端子用のチューブマークでは悩みとなっている。最近発売されたチューブマークは、チューブ内に「ヒダ」をつけた構造にすることで、電線に装着後もずれたり滑ったりしないような改良を加えている。棒端子以外の丸型端子やY型端子にも使え、市販のマーキングプリンターでも印字できるなど、配線の効率化と信頼性向上にもつながる。
環境に対応したエコ製品の開発や再利用できるタイプの開発も進んでいる。