旭化成せんい(大阪市北区中之島3―3―23、TEL06―7636―3500、高梨利雄社長)は、このほど繊維技術を駆使した伸縮電線「ロボ電」の販売を開始した。初年度3億円の売り上げを目指す。
「ロボ電」は「しなやかな伸び」と「回復性」を特徴としたポリウレタン弾性繊維「ロイカ」の技術を応用。旭化成せんいが得意とする繊維加工技術を組み合わせるとともに、エレクトロニクス製品も製造している旭化成グループの知見を活用して開発された。
当初は、人体と密着するようなウエラブル端末向けをメーンターゲットとして開発を進めていたが、大手ロボットメーカーの目に留まり、産業用や通信用にも耐えられる仕様にするため、7年の歳月をかけて商品化。
従来は、ロボットの先端にカメラなどのセンサーを取り付ける場合、断線を防ぐために余計なたるみを持たせるか、カールコードのようなケーブルを使用する必要があり、余裕を持ったスペースの確保や、引っかかりによるトラブルなどが問題になっていた。
また、近年では製造現場の省スペース化と、産業用ロボットの普及により、設置間隔が狭くなり、ケーブルを含めたロボット同士の干渉も課題になりつつある。ロボット動作自体のシミュレーションソフトは普及が進んできたものの、たるんだケーブルは挙動が不安定で、不確定な要素の一つでもあった。
今回のケーブルは約1・4倍まで伸縮可能で、耐屈曲性試験でも、曲げ半径10ミリで300万回以上という過酷な試験をクリアしている。しかも電気的特性がほとんど変わらず、しなやかなため、通信用のケーブルとしても電源用のケーブルとしても活用が見込める。
種類は、AタイプUSBコネクタの延長用ケーブルとして使える「USBコネクタ付き(Aタイプ‥オス―Aタイプ‥メス)」と、ユーザー自身で自由に加工できる「リード線(AWG28バラ線)」の2タイプ。ミスミの通販サイトから購入が可能。