三菱電機が、稲沢製作所(愛知県稲沢市)内で建設を進めていたエレベーターなどの開発検証施設「昇降機QMセンター」がこのほど竣工、稼働を開始した。
新興国の経済発展に伴い、世界の昇降機需要は大きく増加しており、同社は世界92カ国に累計100万台を超えるエレベーター・エスカレーターを納入している。
稲沢製作所はその中核工場になっており、各製造拠点と連携し市場ニーズに合った開発・製造体制の強化を図るため、従来、点在していた開発検証施設を新建屋に統合した。
建屋は3階建てで、建築面積は1925平方メートル、延べ床面積は5800平方メートル。総投資額は約30億円。
センターでは、安全・品質にかかわる昇降機の巻上機、プリント基板、ロープ、ブレーキなどを重点的に開発・検証す
る。
実際の使用環境を模擬した単体機器評価をするほか、購入品を含めて製造条件の変動を加味したシステム全体の評価などが実施できる。
ロープ寿命試験機、大容量巻上機用の負荷試験機、手すり曲げ寿命試験機、新エレベーター試験塔など最新の試作・試験・評価設備を導入、近年の急激な気象変動を踏まえて温度・湿度などを変化させ、過酷な環境下での寿命加速試験を実施できる。
こうした製品の限界性能の検証と、使用条件・環境と寿命の関係をより明確化し、各市場のニーズ・環境に適した製品の開発に結び付けていく。開発・試作・検証一貫体制による技術力強化、人材育成にも役立てる計画。