あらゆるものをインターネットにつなぐIoT(Internet of Things)の構想が製造現場にも広がりつつある。2020年までに1000億個の物と物との相互接続が実現し、その市場規模は631兆円に達するという調査も出ている。同時に、国際的なIoTの普及推進団体もいくつか設立されつつあり、今後新たなビジネス創出に向けて取り組みを強めている。
IoTの概念は1999年頃に提唱されたと言われている。今までインターネットには接続されていなかった物が接続されることで、新たなビッグデータの世界が生まれた。スマートフォンやタブレットパソコン普及が、この動きに拍車をかけている。
工場の生産工程で発生するデータも、近年は容量、多様性、速度などが急速に増大化傾向を見せている。このデータを分析することにより、競合や市場の動向、コスト分析、生産性の向上などを検討することができる。
■新たな価値創出
工場では、機械や装置、部品、製品ごとに大量のデータが生まれているが、これを保存し、分析・活用することで、大きなコスト削減とともに新たな価値創出につながってくる。
こうした動きを背景にして、IoTの普及推進団体がいくつか結成され始めている。
インテルやサムスン、デル、ウインドリバーなどが中心となって「Open
Interconnect
Consortium」(OIC)が、また、パナソニック、ソニー、シャープ、マイクロソフト、LGなど約60社が参加して「AllSeen
Alliance」が結成されている。
さらに、「Industrial Internet Consortium」(IIC)には、AT&T、シスコシステムズ、IBM、GE、インテルが、「Thread Group」には、家庭内の機器に主眼を置いた取り組みを行うARM、フリースケールなどが参加している。
そのほか、「Internet of Things Consortium」には、IoT技術に関わる企業が複数加盟して活動するなど、IoTの団体が乱立している。
OICとAllSeenは、こうした様々な種類の接続や言語の橋渡しとなる規格を開発し、機器間の通信を向上させることを目指し、Threadは、無線ネットワークのプロトコルとして、IoTという極めて大きな概念の取り組みを効率化し、改良することを狙っている。本質的に機器が違えばやりとりする言語も異なり、Wi―FiやBluetoothなど、接続に使用するシステムでも対応が求められる。
AllSeenとOICはいずれも、こうした様々な種類の接続や言語の橋渡しとなる規格を開発し、機器間の通信を向上させることを目指しているとも言われる。
インターネットが社会全体に定着しつつある時だけに、これらの動向は今後の製造現場にも大きな影響を与えそうだ。