画像処理システムの世界市場は、いずれの分野でも伸びが期待されている。
デジタル化の進展の影響が大きく、2013年で世界のFA用カメラの6割がデジタル化しており、いち早くデジタルインターフェースのラインアップを充実させた欧米メーカーの存在感が増している。また、デジタル化によるボードレス化も進んでおり、ボードメーカーはボード単体の販売から、カメラ一体型画像処理装置や、カメラとライブラリの一体販売などへビジネスを移行しつつある。
富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町12―5、TEL03―3664―5811、清口正夫社長)は、「画像処理システム市場の現状と将来展望」についての調査で、3D化やビッグデータ、クラウド活用といった技術トレンドや、市場の現状、今後の予測などをまとめた。
画像処理システム市場は、今後中国を含めたアジアがけん引するとみられ、18年には市場の3割弱を占めると予測される。すでにCIS(独立国家共同体)やアフリカなどで、鉄鋼、ガラス、製紙などの基幹産業向けにWeb外観検査装置が導入されており、今後新興国市場の伸びも期待できる。
単体機器では、画像処理装置(筐体型、ボード)、画像センサの市場はスマートフォン関連の設備投資を中心に拡大している。ロボットビジョンシステム、三次元デジタイザは日本や欧米の自動車メーカーの積極的な設備投資により市場を拡大させている。
アプリケーションでの市場をみると、基板実装関連では、AXI(Automated X―ray Inspection)がEMSや車載電装の大手を中心に、今後の市場拡大余地が大きい。シート関連の検査装置では、Web外観検査装置がメタル、ガラス、製紙などで大型案件が増加している。印刷面外観検査装置は、アジアにおける需要が本格化している。
食品・薬品関連の検査装置では、飲料容器外観検査装置がもっとも市場が大きく、日本、欧州、米州では更新需要が主であるが、今後東南アジアでの需要増加が有望視されている。
観察・測定関連機器では13年時点でもっとも規模が大きいのは、電子顕微鏡(SEM、TEM)である。
今後有望とみられるのは、非接触三次元測定器で、自動車部品用途における接触式から非接触式への移行や製品価格の低下により、大幅な市場拡大が期待される。非接触ユニットが500万円以上と高価なため、13年は三次元測定器全体の5%程度とみられるが、自動車部品用途を中心に成長が期待される。