経済産業省は、石油化学産業の市場構造の変革を求める調査報告書をまとめた。報告書では、国内人口減や北米の安価シェールガスを使った製品の流入などで、日本石油化学産業の将来が厳しくなり、設備の集約や事業の再編が必要になるとして、取り組みを求めている。PA(プロセスオートメーション)機器や、FA機器の大きな需要先である石油化学産業のこうした動きは、今後の電気制御機器や計測機器市場にも大きな影響が及んでくる。
石油化学産業は、シェールガスの流入や中国の石炭化学の増産などで今後の市場先行きへの厳しさが増している。
経産省では、こうした動向から、国内のエチレンセンターのコスト競争力向上のために、ハード面では、(1)エチレンセンターの規模の最適化(2)石油精製との連携強化・統合運営(3)柔軟性の発揮(4)用役・共通部門の共有化、などを求めている。
特に、エチレンセンターの規模の最適化、石油精製との連携強化・統合運営は、国際競争力の強化や省エネの推進にもつながるとしている。
また、ソフト面では(1)制度・規制の合理化(2)人材の有効活用と安定操業の確保(3)集約統合時の手続きの明確化・公平性の確保(4)地域との連携、などを求めている。
中でも人材の有効活用と安定操業の確保は、運転・保全部門や管理部門などの共通化を進めることで収益性の確保につながる。
最近多い石油化学爆発事故なども、世代交代に伴う運転・保全要員の減少で、運転・保全技術の伝承が難しくなり、安定操業の確保が課題となってきていることが指摘されている。
企業間や部門間での人材のミスマッチの解消と安定操業の確保の両立に努めるべきだとしている。日本の石油化学産業がグローバル競争力を発揮して、今後需要の拡大を期待されている新興国需要を取り込むためにも、現況の足下を固めておくことが重要だとしている。