IDECと兵庫県佐用町が建設を進めていた「佐用・IDEC申山(もうすやま)太陽光発電所」が10月に完成し、11月中旬から発電を開始。発電規模は5MW。年間発電量は533万kWhで、一般家庭の約1500世帯分に相当する。
事業主体はIDECと佐用町が各1・5億円ずつ出資し、共同で設立した「佐用・IDECメガソーラー有限責任事業組合」。国内初の木造架台を導入したメガソーラー施設として稼働する。
IDECは制御機器の開発、製造で培われた技術を基にメガソーラー事業をはじめ、環境・エネルギー分野にも注力。舩木会長兼社長の「20年~30年後には農業の活性化が外貨を稼ぐ」という理念と、佐用町の想いが一致し、共同での事業化に至った。
佐用町は兵庫県南西部に位置し、2009年8月の台風9号の豪雨による大水害の経験から、木材の活用による健全な山林育成の重要性に着目していた。今回のメガソーラー発電所は、国内初の国内産木材を活用した木造建築構造架台を導入。木材は全てヒノキを使用、防腐剤を使用しないことで、使用後の木材を100%再利用できる。
課題となるコストについても、木造建築の工法を応用し、組立工数と工期を削減することで、従来の金属を使用した架台と同等以下に抑えている。
同時に、兵庫県産木材のほか国内産木材を使用することで、地域産業への貢献も実現。耐久性についても、パネル接続部の金具を屋根に見立て、木材部分に直接風雨が当たりにくい構造にすることで20年以上の耐久性となっている。
総事業費15億400万円(予定)に対して、年間売電収入は2億2200万円を見込んでおり、収益性と地域貢献の両立が期待されている。
発電用パネルは印・モーザーベアー社製、パワーコンディショナーは仏・シュナイダーエレクトリック社製を採用。請負事業者はIDECシステムズ&コントロールズ。