富士電機は、大崎電気工業とその子会社でシンガポールに本社を置くオーサキ・ユニテッド・インターナショナル(OUI)との間で、OUIの100%出資子会社「SMBエレクトリック(SMBE)」の全株式を今年12月29日付で取得し、買収する。
大崎電気は、約30億円の特別利益を2015年3月期に計上する。
SMBEは、シンガポール・マレーシア・インドネシア・オーストラリアで事業展開している低圧配電盤および通信装置盤の有力メーカーで、設立は1978年9月8日。13年12月期の連結売上高は約98億円、従業員数687人。
設計コンサルやプラントエンジニアリング会社などとの強固な関係を生かし、データセンター、商業施設、産業プラント・工場設備向けなどに多くの納入実績がある。
子会社も13社(シンガポール5社、マレーシア4社、オーストラリア3社、インドネシア1社)を有する。
富士電機では今回、SMBEの買収で、同社の有する商流に加え、SMBEのアジア・パシフィック地域における販路およびエンジニアリング力を活用し、低圧配電盤と同社のパワエレ機器(無停電電源装置、インバータ、モータ、モールドトランス・変圧器、計測機器など)を組み合わせた産業プラント・システム商談の拡大を図る。
またSMBEに技術供与をすることで、新たに中圧配電盤の生産にも取り組み、同社の商材を組み合わせ、船舶用電気設備および海洋分野の洋上プラントなど新規市場開拓を目指す。
同社は、昨年10月に変電事業の強化を目的にタイで富士タスコ社を設立し、同年12月には、アジアにおけるものづくりの中核拠点としてパワエレ機器の生産を中心とした新工場(富士電機マニュファクチャリング・タイランド社)を立ち上げるなど、着実に海外事業基盤の強化を進めている。
大崎電気は、SMBEを売却することで、今後は海外における経営資源を大崎電気グループの中核事業である電力量計事業へ集中し、グローバルベースでの企業価値の最大化を目指す。具体的には、グローバル市場でのスマートメータービジネスの加速的な成長へ向けてM&Aなども含め取り組みを強める。