オムロンは、CYBERDYNE(サイバーダイン、山海嘉之社長)とロボット事業で提携していくことになり、2014年12月24日に基本合意書を交わした。
今回の提携で、オムロンは自社のネットワークサービスを活用し、サイバーダインが開発した「HAL介護支援用(腰タイプ)」「HAL作業支援用(腰タイプ)」「搬送用ロボット」「クリーンロボット」などの販売促進と保守サービスを提供していく。保守サービスはオムロンフィールドエンジニアリングが請け負う。
また、両社は近未来における人と機械が融和する社会の実現を目指し、サイバーダインの強みであるサイバニクス技術と、オムロンの強みであるセンシング&コントロール技術を生かしながら、共同で”生産革命”の関連事業を推進する。
今回の提携は、両社が互いの理念に共感したことがきっかになっているという。サイバーダインは「科学技術は人や社会の役に立ってこそ意味がある」という企業理念を、オムロンは「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」という社憲を掲げる。
オムロンの山田義仁社長はサイバーダインをパートナーに選んだ理由として、「山海社長の高い志に深く共感したから」、山海社長は「両社の理念に共通項が多く、向かう道と進み方が一致したから」と語っている。この言葉からも、目先の利益ではなく、長期にわたって信頼関係を築き、両社の技術を活用して、新しい価値を創造していくという決意が感じられる。
オムロンの主力である制御機器事業とのシナジー効果を山田社長は、「オムロンが持っている技術と、新しいサイバニクスの技術を掛け合わせることで”匠の技の継承・向上””生産性の劇的向上””新しいオートメーションの実現”などを期待している」と述べている。
また、山海社長は「当社は人の動きをとらえて、活用する技術に長けているため、この技術を使って、製造現場のヒューマンエラーをなくす、あるいはオートメーション化された環境の中でサイバーダインの技術を伸ばすことなどが期待できる」と強調。
さらに、山海社長はオムロンの技術に期待する点を、「医療コスト、介護コストが上がる中で、オムロンのヘルスケア分野の持っている高品質で低価格な製品技術」を挙げ、「『身体系』と『生理系』の技術をブラッシュアップしてひとつのシステムを作り上げ、健康や今後私たちの社会が直面する高齢化、介護、健康などの課題を解決していきたい」としている。
体に装着するタイプのロボットは、とかく作業支援用のパワードスーツのようにとらえられがちではあるが、作業支援ロボットが、スレーブ型のロボットを装着した非熟練者が、マスター型のロボットを装着した熟練者の匠の技を模倣する手助けとなるなど、技能伝承という差し迫った課題を解決する糸口になることも期待されている。
なお、記者会見では、実際に支援ロボット、搬送ロボットなどが披露された。