FA(産業)用パソコン・コンピュータは、工場の生産用からインフラ設備用まで幅広い需要裾野に支えられ、安定した市場を形成している。市場規模は350億~400億円と見られている。一般的に産業用コンピュータは、工場の製造現場や重要な設備の制御装置など、長期間稼働を停止することができないシステムに利用されることを前提に設計されている。このため、マザーボードや電源などの重要なパーツには、より高い信頼性と耐久性に優れた部品が使用されている。工場の製造現場や産業機器に組み込み用として使用される場合、振動、高温多湿、粉塵の発生など、過酷な使用環境下に置かれることが多く、高温に耐えられるように吸排熱を重視した設計や、粉塵対策が施されている。
インターフェイスについても増設コストを減らすため豊富なシリアルやUSB、拡張スロットを持つことが要求される。
拡張スロットは、画像処理ボードやモーションコントロールボード、各種フィールドバスボード、GP/IB通信ボード、AD変換ボードなど、用途別に応じたボードを使用する。シリアルやUSBには、各種ホストコントローラやUPS、計測装置などの周辺装置を接続することが多い。
CPUは、インテルなどの最新プロセッサを搭載することで、演算能力やグラフィック機能の性能が大幅にアップするとともに、消費電力の削減にも貢献している。インテルのBay Trailプロセッサを搭載した最新の機種では、演算能力が従来機種の約2倍となり、より高速な演算処理が可能になっている。