ハーティング(横浜市港北区新横浜1―7―9、TEL045―476―3456、能方研爾社長)のイーサネット接続製品が、東京モノレールが昨年7月に営業運転を開始した新型車両10000形の車上ネットワーク機器向けに採用された。イーサネットは、新型車両の各種制御信号や監視データの伝送、および液晶ディスプレイによる乗客向け案内サービスに使用されている。
東京モノレールの車上ネットワーク情報制御装置「ATI(Autonomous decentralized Train Integrated system)」のイーサネット接続は、車両間の基幹伝送は4線のイーサネットケーブル「Ha―VIS EtherRail」を蛇腹状のジャンパーに収め、過酷な環境用の保護等級IP68コネクタ「Han HPR」で接続している。
車両内のイーサネット伝送路は、IP65/IP67のM12コネクタとHa―VIS EtherRailケーブルで構成。車両間も含めシームレスにイーサネット接続することにより高い伝送品質を提供し、列車のスムーズな運行や、4カ国語表示可能な案内用液晶ディスプレイなど、2020年の東京オリンピックに向けた車内サービスの充実化をサポートしている。
鉄道業界では、用途別に分かれていたシステムを統一のネットワークで接続し、増加の一途をたどるデータ量に対応するため、イーサネットの導入が進んでいる。IECで今春、鉄道用イーサネット規格ECN(Ethernet Consist Network)が発効されたことを受け、この流れが加速することが見込まれている。
車両のネットワーク接続は、衝撃・振動や極端な温度、湿度などの環境要因に対応することが必要で、ハーティングは耐環境製品における強みを生かしてイーサネット接続製品を厳しい環境下にある製造現場や発電設備、鉄道などに提供し実績を上げている。
ハーティングの鉄道向けイーサネット製品は、スイッチから、ケーブル、コネクタまで幅広くそろえ、すでにアルストム、ボンバルディア、シーメンスをはじめ、世界中の車両メーカーに採用されている。
鉄道規格EN50155、および鉄道産業向け品質マネジメントの国際規格IRISの認証を最初の一社として取得しており、長年鉄道業界で培ってきた技術と、通信機器からコネクタまでカバーするトータルソリューションにより鉄道用イーサネットの導入を支援していく。