メカトロニクスパーツ市場が順調に市場拡大 新興国中心にスマホ向け好調

工場の自動化装置に欠かせないメカトロニクスパーツの市場が順調に拡大している。新興国でのスマートフォン生産台数が増加しており、関連する製造装置、自動化装置向けが好調で、工作機械や半導体製造装置も着実に市場を拡大している。

富士経済（東京都中央区日本橋小伝馬町１２―５、ＴＥＬ０３―３６６４―５８１１、清口正夫社長）がまとめた「２０１４年注目メカトロニクスパーツ市場実態総調査」によると、メカトロニクスパーツの日系グローバル市場の規模は、１４年の見込み１兆４２６９億円（１３年比１２・５％増）から、１７年には１兆６３７５億円（１３年比２９・２％増）と約３０％増加する。

注目メカトロニクスパーツの調査は、国内市場及び日系メーカーの海外販売額で、各種制御機器／装置などに使う「コンピュータ＆コントロール領域」「ドライブ＆モータ領域」「センサ領域」「受配電機器領域」のそれぞれの主要品目をピックアップし、市場動向やアプリケーション動向を調査した。加えて、制御機器メーカー別業績動向、国内製造業設備投資トレンド、エリア別経済成長動向なども調査した。

円安による装置メーカーの実績回復や、中国をはじめとするアジアにおける製造業の設備投資拡大がプラスに働いており、１４年は特にスマートフォン向け各種電子部品・半導体・液晶などの製造装置や、製品筺体の加工用装置、最終組立工程用の各種制御機器など様々な分野が活発だった。新興国の人件費高騰から、自動化ニーズは年々高まっており、特に情報家電分野においては品質アップの観点から、従来手作業であったはんだ付けや組立工程でも自動化が進んでいる。

メカトロニクスパーツメーカー各社は為替リスク低減や、コスト削減、カントリーリスク分散といった観点から、生産・販売の軸足を中国からベトナム、インドネシアなど東南アジアを中心とした新興国に拡大している。また、北米における製造業回帰で、一般産業機械から自動車関連分野まで幅広く需要が拡大しており、今後も海外向け需要は好調とみられる。

製品別ではＡＣサーボモータ・ドライバが大きく伸びて、１７年市場規模は３３７７億円（１３年比４６・６％増）になる。１４年は自動車関連生産ライン向けロボット、工作機械などの需要が引き続き好調で、さらに中国を中心としたスマートフォン関連ＥＭＳ（受託生産サービス）向けに加え、中国ローカルセット機器メーカー向けの需要が拡大した。ただし、特需と捉えている企業もあり、食品・薬品・医薬品といった三品業界、医療機器業界などアプリケーション拡大を強化している。

プログラマブルコントローラも海外向け設備投資需要が牽引し、今後も新興国向けに販売増加を期待。全体では堅調に伸びるが、中国、韓国、台湾など新興国メーカーも台頭してきている。１７年の市場規模は２０２５億円とみられている。
汎用インバータは、ファン、ポンプ、コンプレッサなどの空調・給排水関連、エレベータ、コンベアなどの搬送機器関連、各種加工機械などをはじめとする一般産業機械向けが主体となっている。日本国内では、省エネ用途のニーズは一段落したものの、１５年４月から施行されるトップランナー規制に合わせ、インバータ単体ではなくモータとのセット提案が本格化しており、ＰＭモータを含めた高効率モータへの移行が進む。メンテナンス需要も根強くあり、市場は堅調に推移すると思われる。

どの製品分野においても自動化ニーズの高まりに合わせ、市場規模は順調に拡大を続けている。しかしながら、製造装置に使用されるメカトロニクスパーツにおいても現地調達が進展し、新興国メーカーのローエンド品との価格競争にさらされるケースが増加している。日系メーカーにおいても、新興国向けローエンドモデルの投入、ハイエンド品による差別化などが求められ、より一層の技術開発と、効率化、サービス強化などが必要になる。