一般社団法人日本自動認識システム協会 「『自動認識』無限の広がり」 柵木充彦会長

2015(平成27)年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。会員の皆さまにおかれましては、平素より当協会の事業活動に多大なご支援、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、日本の経済状況を考えますと、長期的には回復基調にあるものの、昨年4~6月期の実質GDPは前期比年率▼6・8%と大幅なマイナスで、7~9月期についても前期比年率▼1・6%と2四半期連続のマイナス成長となるなど、消費税増税後の反動減の影響から短期的には成長に不透明感が漂う状況になっております。昨年年末に実施された総選挙の結果が今後、どう影響してくるのかが注目されます。

昨年の出来事では2020年のオリンピック、パラリンピック東京大会の決定が大きな我が国の躍進になる出来事として注目されました。私どもの自動認識業界でも20年に向け様々な取り組みの準備に入っております。

一方、広島の土砂災害や長野県白馬村北城の神城断層の活動による地震等の災害時には、救難支援物資の緊急搬送等における様々な課題が改めて確認されております。今後、バイオメトリクス、RFID、バーコードなど、総合的な自動認識技術の活用促進を進めることで、多くのイベントでの安全・安心・社会的利便性向上への貢献や、将来起きるといわれている様々な災害時にも様々な側面から貢献できるような活動をして参ります。

当協会の昨年の活動としましては、2月の「第11回自動認識総合展大阪」に続き、9月10~12日には、「あ!こんなところにも豊かな社会を支える”自動認識テクノロジー”」と題して、「第16回自動認識総合展」を東京ビッグサイトにおいて開催致しました。東京での展示会では、昨年度から設置致しました「NFCゾーン」を引き続き設置するとともに、新企画として、マシンビジョン、画像認識ゾーンや、センサーネットワークゾーンなど多くのゾーン展示をいたしました。これらのテーマゾーンには、多くの企業の方々に出展していただき内容の充実を図ることができましたし、さらに、昨年より企画致しました「事例でわかる自動認識」の導入事例パネルコーナーは、多くの来場者に注目を頂き、具体的な応用例として参考にして頂くと同時に、出展企業様ブースへの誘導にも効果をあげることができました。

また、第16回システム大賞では、会員企業様やユーザー企業様と共同で応募された事例が多数あり、当システム大賞に対する認知度が会員企業様のみならずユーザー様にも一段と進んでいるものと考えます。今年度の受賞作品は総てRFIDの活用によるシステム提案となりました。

自動認識システム大賞の大賞は、コンクリート構造物の中に各種センサーとRFIDタグを埋め込むことで、構造物の健全性を診断する非破壊検査システムが受賞しました。これからの社会インフラの点検技術として広く活用が期待される内容であると思われます。

RFIDに関する情報として、米国のITアドバイザリー企業が示す「ハイプ・サイクル」というWeb情報がありますが、その情報によればRFIDは啓蒙活動期であり、ゆるやかに上昇するという予測が示されております。システム大賞受賞作品にみる傾向とあいまって、RFIDの市場が今後更に、拡大に向かう状況にあると捉えることができ、とても嬉しい兆候でございます。

システム大賞応募作品は総てが自動認識を活用した、様々な現場でお役立て頂けるシステムであり、「経済性・品質レベルの向上」「社会的利便性の向上」に結びつくシステムとなっております。

自動認識システムが人々の生活や社会環境の中に益々幅広くかつ深く浸透してきた感がございます。自動認識システム技術者認定試験制度については、第23回・24回基本技術者認定講習・試験を行いました。当試験合格者は第1回からの累計で1215人となり、業界のレベルアップに大いに貢献していると確信しております。

さらに、より高度な専門資格試験としてRFID専門技術者資格認定講習・試験も実施しました。合格者の方々からは、名刺に資格内容を記載頂くことで、お客様からの信頼を勝ち取れたとのお話を多く頂戴するようになり、成果が確実に現れております。

標準化活動は当協会が特に力を入れている分野であります。経済産業省等からの受託事業としまして、「サプライチェーン完成車物流の可視化手法に関する国際標準化」「サプライチェーン用RFID規格のJIS化」などの自動認識技術を基盤とした物流アプリケーションに関連した標準化活動を推進しております。

昨年度からは、会員様が生産するプリンタ、バーコードリーダー、インクリボン、サプライ品の性能評価仕様に関するJIS開発を「高機能JIS等整備事業」として開始しており、会員様の活動をさらに支援できるよう進めております。

次にバイオメトリクス関連事業では、調査研究事業として、JKAからの事業支援を受けて、災害時の個人認証の活用に向けて調査研究を行っておりますし、20年オリンピック開催に向けては、多くの外国人観光客が来日される際の空港での個人認証等への応用も目指しております。

自動認識システムは、今後も新たな最先端技術と組み合わせることにより、ユーザーの皆様が抱える諸課題に最適なソリューションを提供することで、これからも無限の広がりをもって、ますます活用されるものと確信しております。

当協会は、新たな発展の芽を模索しつつ、より一層業界及び関連団体、省庁間との連携を密にして具体的な事業の継続・発展に尽力して参るとともに、会員企業様をサポートしていく責務をしっかりと果たし続けていく所存です。

最後になりましたが、本年が皆様にとりまして良い年でありますよう心からお祈り申し上げますとともに、ますますのご発展とご多幸を祈念申し上げ、年頭のご挨拶と致します。

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