FA制御機器流通は、国内外で需要が堅調であることから、総じて明るく推移している。商社各社の売り上げも前年度比7~12%の増加で推移しているところが多い。すでにリーマンショック前の売り上げを超えている商社も多く、後遺症は徐々に消えつつある。
市場は、スマートフォンやタブレットPC向けなどで半導体関連や工作機械関連が好調に拡大しており、自動車関連も堅調となっている。PV(太陽光発電)関連も買い取り価格が下がる傾向にあるものの、メガソーラですでに申請済み分の残が2016年頃まで続くことや、家庭用は住宅メーカーがセット販売を進めていることもあり、当分継続した需要が見込まれている。
20年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定は、日本全体のインフラ再興に繋がるものとして、各方面から波及効果が期待されている。道路・鉄道などの交通、関連施設の建設、都市・ビルの再開発などが目白押しで進んでおり、「盆と正月が一緒に来た感じ」と捉える業界もある。これに東北の震災復興なども加わり、内需の先行きは明るい。懸念されるのは人手不足で、こうした計画が予定通り進まない状況が心配されている。
一方で、人手不足はロボットなどの導入に繋がるチャンスととらえる見方もある。製造業では一部の業種で国内回帰の傾向が見られる。日本でのロボットの導入は、人手不足よりは品質や高密度実装、安定した駆動といったロボットの特性を生かした目的での導入が志向されている。将来的にロボットの導入が進むことは確実だけに、扱い実績を増やそうと取り組みを強めている商社が増えつつある。
ロボットに限らず、付加価値を高めた販売を強めることで、価格に左右されることを避けようとする動きも目立つ。ソフトウェアやエンジニアリングの比率を高めたり、アッセンブリやハーネス加工などが代表的な取り組みだ。
今後はさらなる内需市場を拡大していくことで、産業の空洞化に伴うFA制御市場の縮小を抑えていくことが重要になってくる。自動体外式除細動器(AED)の扱いがFA制御機器商社のルートでも始まっており、今後こうしたFA関連以外の製品を扱うことで総額として売り上げを確保しようとする流れも出てきそうだ。同時に、事業の承継問題に絡めて地域、分野などを超えた取り組みも浮上が予想される。