関西地区のFA業界は、設備投資の全般的な回復傾向と、輸出をメインとする大手企業の順調な業績を背景に、前向きに捉える声が多い。近畿経済産業局が発表した1月の近畿経済の動向においても、企業の設備投資は、一部に足踏み状態がみられるものの回復傾向を持続、公共投資も底堅く推移している。輸出や雇用も緩やかに改善しており、倒産件数も2カ月連続の減少となっている。パナソニックの白物家電を中心とした国内製造回帰のニュースや、工作機械業界の好調もあり、当面景況感は良化の傾向にあるとみられる。
省エネや安全テーマに
FA流通商社の話では、設備投資に関して、政府の補助金政策や減税対策などを背景に前向きに捉える企業が多く、肯定的に考えるところが多い。個別の案件では、省エネや安全に関連するテーマが依然として強く、太陽光発電システム発電に関する案件においても小規模・中規模案件が継続しているほか、2020年開催の東京オリンピックに関連するテーマや、8Kテレビなどに関連する需要の増加に期待する声もある。社会インフラの老朽化対策投資も継続しそうだ。
このように国内需要に関しては、現段階では堅調に推移するという見方が主流である。一方、海外に拠点を置く商社では、ユーザーの海外進出にあわせ、アジア市場や米国市場での順調な動きを背景に、既存の販売拠点の強化や新たなルート開拓に注力する動きが顕著である。特に、東南アジア市場に向けては、日系企業が多く進出するシンガポールなどに営業所を新設する商社もある。ただし、工場のグローバル展開に伴い、選定は国内、購入は現地など拠点間でのスムーズな連携が以前にも増して重要度を増してきている。国により異なる商習慣にも合わせる必要があり、「新興国」とひとくくりにせず、現地採用スタッフの力と日本人社員の力をあわせて、各国の実情にフィットした対応が求められている。
ソリューション提案強化
商社間の差別化も各社の課題だ。特に問い合わせが必要ない単機能の機器、製品については納期と価格、2点のみの勝負になり、ネット販売の業態を持つ企業の影響力が増している。一方、仕様打ち合わせが必要な製品や、組み合わせて使用する製品に関しては、顧客と営業の対話が必要で、営業マンの提案力が問われ、各社ともにソリューション提案を強化している。また、製品販売だけではなく、エンジニアリングも含めた提案、受注を目指す動きも活発になってきている。
従来存在していた商社間の地域による住み分けも自由競争になってきており、関西を地盤とする企業の関東、九州への進出も顕著だ。機械商社、電機商社といった住み分けも年々薄れてきており、電機に強い商社が機構部品を扱う、機械商社が電機部品を扱うなど各社取り扱い製品数は増えてきている。製品数の増加に伴い、システム投資も活発だ。
配電盤業界では、ビルなどの省エネ投資は落ち着いてきたものの、トップランナー規制の導入による設備更新、制御盤、配電盤のメンテナンス需要が底堅い。店舗の大型化から派生する分電盤ニーズも堅調だ。工場の新設の話も聞かれる。
日本配電制御システム工業会の全国総会が今年初めて大阪で開催される(6月)ことから、同工業会の関西支部では、会員同士の積極的な交流などが図られる絶好の機会と捉えており大きな期待を寄せている。