産業用ネットワークでフィールドバスが66%と依然もっとも使われているが、今後の伸び率ではフィールドバスの7%に対し、産業用Ethernetは17%と2桁の伸長が見込まれている。産業用Ethernetは、高い性能と企業内ネットワークとの統合性の良さが評価されているもので、今後、産業用ネットワークの主流になることが予想されている。
スウェーデンの独立系サプライヤーで、産業用デバイスを様々な産業用ネットワークに接続可能な産業用通信向けの製品およびサービスを提供しているHMSインダストリアルネットワークスが、グローバルでのFA分野で新たに設置された産業用ネットワークのノード数を調査した。
これによると、産業用ネットワークで産業用Ethernetの比率が34%であるのに対し、フィールドバスが66%と約2倍の開きがある。しかし、今後の伸び率では産業用Ethernetが2桁の伸びが見込まれ、高い伸長が続くことから早晩、逆転が見込まれている。
現在の産業用Ethernetのネットワーク別シェアは、PROFINETとEtherNet/IPが各8%で首位を競い合っており、現在のところ、どれかひとつのネットワークに統合されるような動きは見られない。続いてEtherCAT(5%)、Modbus―TCP(3%)、POWERLINK(2%)、SERCOSⅢ(1%)の順となっている。
地域別では、欧州・中東(EMEA地域)でフィールドバスのPROFIBUSが多く使用されているが、成長率では産業用EthernetのPROFINETが高く、これにModbusとEtherCATが続いている。
米国では、フィールドバスのCIPネットワーク(DeviceNet)のシェアがまだ高いものの、産業用EthernetのEtherNet/IPの勢いがDeviceNetを上回りつつある。続いて、PROFIBUSとEtherCATの順で、PROFINETやModbusも依然広く使われている。
これに対しアジアでは、突出したシェアを持つネットワークがなく混戦状態が続いている。欧米で高いシェアを有するPROFIBUS、DeviceNet、Modbusが広く利用されているものの、日本で高いシェアを持つCC―Linkや、評価が高まっているEtherCATの勢いも増している。
フィールドバスのネットワーク別シェアは、PROFIBUSの18%が最も高く、以下Modbus(7%)、DeviceNet(6%)、CC―Link(6%)、CANOpen(5%)、AS―ⅰ(4%)の順となっている。
HMSインダストリアルネットワークスのアンダーズ・ハンソンマーケティング・ダイレクターは「産業用Ethernetへシフト傾向にあるが、当初の予測より長い時間がかかっており、当社にはフィールドバスと産業用Ethernetのいずれの接続にも要望が寄せられている」と言う。また、ネットワーク市場は細分化されたままであるのに対し、同氏は「ますます多くの産業用デバイスが接続されるようになってきている。これは、IoT(モノのインターネット)などのトレンドや、ドイツの産業戦略であるインダストリ4・0によって、さらに高まりをみせている」と語っている。