亀裂を自己修復する金属配線が実現する。
電子機器に囲まれる現在の生活では、曲げや伸縮により金属配線がダメージを受けやすい「ディスプレイ」「太陽電池」「照明」「センサーシート」などのフレキシブルデバイスはもちろん、通常の電子機器においても、気温変化による伸縮変形のダメージを受けて生じる金属配線のクラック(亀裂)が、機器の故障につながってしまうケースがある。
早稲田大学理工学術院(基幹理工学部機械科学・航空学科)岩瀬英治准教授、大学院基幹理工学研究科修士1年の古志知也氏は、金属ナノ粒子の電界トラップを用いることで、配線上に一度クラック(亀裂)が生じた場合でも、電圧印加によりクラックを自己修復する金属配線を実現した。
自己修復機能は社会的な効果や適用範囲は非常に広く、その有用性が期待されている。
現在、さらに大きなクラック幅の修復の実現や、さらに高い自己修復機能を目指して改良を行っている。また、現状の構成では液体の封止が必要となるが、液体の封止が構造上、製造上問題になることも考えられるため、金属ナノ粒子をゲル中に分散させた構成での自己修復機能の研究を試みている。