国内装置メーカーで電気制御設計の効率化に対する取り組みが進んできている。特に工数削減、時間短縮を狙ったソフトウェアの導入が注目されている。
自動搬送システムメーカとして国内外で数多くの実績を持つ、浜名エンジニアリング(愛知県豊橋市明海町2―82、TEL0532―25―2125、後藤健社長)は、同社の次世代電気制御設計環境として、図研の「E3・series」の採用を決定した。
浜名エンジニアリングでは、かねてより図面修正や転記作業での属人的なミスをなくすため、作図作業中心の既存CADシステムの刷新を検討していた。
今回の採用の決め手は、「E3・series」の図面情報連携機能、拡張性および図研の導入支援体制を高く評価した結果だったという。
電気設計用CADを導入することで、多くのメリットが享受できる。単にPC上で作図するだけではなく、データベースという形で使用部品に関する情報が統合管理できるようになる。そうすることで、使用部品に紐づいた製品情報から、配線図、部品表などを出力できるようになり、設計から部品手配、作業指示書作成などの工数を劇的に減らすことができる。しかし、欧米に比べて日本では普及が進んでいない。
浜名エンジニアリングの技術部笹井グループリーダーは「当社では以前から展開接続図、配置図、板金図などの作成を、電気設計用で実績のある作図CADを使用して行っていた。最近は受注してからの納期が短くなって仕様打ち合わせ、機械設計の着手とほぼ同時期から電気設計も着手しなければならないため、図面の転記・修正作業や作図チェックなど付帯作業が頻繁に発生しており、今後さらなる納期短縮とコスト低減に対応するには、作図目的だけの既存CADでは機能が不足していると強く感じていた。そこで、図面情報の整合性を保持できる電気設計用CADを比較検討した結果、『E3・series』のリアルタイムな情報連携機能により、仕様変更や機械設計での図面変更などによる付帯作業や図面情報の不整合を大幅に削減でき、また資材部門の使用しているデータベースとの連携も可能なので手配ミスの削減にもつながるとの判断に至った。その操作性やカスタマイズ性が優れていることに加え、専任SEによる立ち上げ支援を受けられることで、よりスムーズで迅速な既存設計環境からの切り替えが期待できることも、図研の『E3・series』に決めた大きな理由」と語る。
図研では、「E3・series」を導入することで電気制御設計の効率化を目指す浜名エンジニアリングのような企業を万全の態勢で支援すると宣言しており、特にCAD導入や切り替えの際に必要となる作業に十分な社内リソースをかけられない中小規模のユーザーも安心して「E3・series」を導入・運用できるよう、サポート・サービスを充実させていくという。
日本の多くの装置メーカーは現場の技術力が高いがあまり、こと細かな指示をしなくても高い品質のものづくりができていたが、今後労働人口の減少や、技術者の流動化が進むと想定されており、このような取り組みを行い、ものづくり力をより高めて行くことがますます重要になってくると思われる。