バクスターは、米マサチューセッツ工科大学のAI研究所所長にして、お掃除ロボットの元祖とも言える米iRobot社の創業者として知られる世界的なロボット研究者ロドニー・ブルックス博士が開発した製造業向けロボット。”人との協調・共存”をベースに開発され、日本国内の販売代理店の日本バイナリー(東京都港区芝2―3―3、TEL03―5427―7111)の吉水瑞晴社長は「従来のロボットのような難しさはなく”誰でも・どこでも・いつでも”使うことができるロボットだ」と話す。
これまで製造現場へのロボット導入を阻んできたのが、ティーチングや設置、安全対策といった導入への手間の問題。生産ラインの他の機器と動きを合わせなければならず、それには専門家が複雑なプログラムを組んでティーチングする必要があった。また設置に関しても、周囲を安全柵で囲う必要があり、「日本の工場にはそれだけの場所がない。装置価格に加え、設置スペースの問題などトータルコストが国内のロボット普及を阻んでいる」(同)と指摘する。
それに対しバクスターは、本体単独で動くことができ、安全設計も万全。しかもティーチングも簡単など、これまで障害となっていた点をすべてクリアした画期的なロボットだ。
ティーチングは、作業者がアームを掴んで動き方を教え込むだけで完了する「ダイレクトティーチング」に対応。誰でも簡単に仕事を教えることができ、品目やライン変更の際も対応が容易。さらに、360度のソナーセンサと両手首のカメラと距離センサ、頭部のカメラで周囲の状況を検知。従来のロボットと同様の安全性に加え、オリジナルの特殊な技術で作られた柔軟な関節が接触の衝撃を大幅に軽減。極めて高い安全設計を実現している。さらに「自身の両腕同士がぶつかるような非常識的な動作ははじめから避ける高いインテリジェント性を備え、同じライン上で人と並んで使うことができる」(同)という。
ピッキングなど反復作業を得意とし、人間の代わりとなって単純労働を担う貴重な存在だ。すでに米国では500台以上が工場で活躍している。吉水社長は「もともとは国外に出ていってしまった米国の製造業を復活させようという考えから作られたロボット。ハイエンドのロボットほどの性能はないが、単純な作業なら人よりも早く効率的にできる。すでに日本でも多くの引き合いが入ってきている。単純作業から人を解放し、より付加価値の高い仕事に専念できる環境づくりに貢献したい」と話している。(つづく)