いま、日本では協調型ロボットが話題になっているが、欧米ではすでに当たり前のように現場に導入されている。デンマークのユニバーサルロボット社のアーム型ロボット「URシリーズ」は、BMWなどでも採用され、世界の最先端を走る協調型ロボットだ。日本の総代理店を務めるグリーネプランニング(横浜市西区高島2―10―13、TEL045―453―0188)のラース・アンダーソン代表に話を聞いた。
-ユニバーサルロボットとはどんなロボットか?
ユニバーサルロボットは、安全制御機能を搭載し、100V電源につなぐだけで使えるアーム型の6軸制御ロボットだ。安全柵がいらず、人の隣に置いて協調作業ができる。世界で最も進んでいる産業用ロボットのひとつだ。安全柵設置の有無は、各現場でリスクアセスメントの考慮が必要だが、世界ではすでにBMWやフォルクスワーゲンなどで数多く採用されている。
-通常の産業用ロボットとの違いは?
そもそもの出発点が異なっている。一般的な産業用ロボットは「危険、汚い、キツイ」の3K作業の解消から始まった。ユニバーサルロボットは正反対で、人と並んで協調作業をするために作られた。可搬重量は比較的軽めで、極めて高い安全機能がはじめから盛り込まれている”頼れるパートナー”だ。だから使い方がシンプルで簡単。箱から取り出した後は平らな場所に置き、家庭用コンセントと同じ100V電源(アース付き)につなぐだけで良い。
-ティーチングはどうなっているのか?
ダイレクトティーチングに対応し、初心者でも簡単に動作設定ができる。アームをつかんで希望の場所まで持っていき、ティーチングペンダントのボタンを押すだけ。専用のプログラムを組む必要がない。高度な動きをさせたい時もティーチングペンダントですべて設定できる。ティーチングの簡単さもユニバーサルロボットの強みのひとつだ。
可搬重量10キログラムの「UR10」、5キログラムの「UR5」に続き、つい先日3キログラムの「UR3」が加わった。UR3は最大リーチ500ミリメートルで、重量はわずか11キログラム。作業台や卓上に置いて使えるデスクトップ型ロボットだ。通称「第3の手」と言われ、2人で行っていた作業が1人でできるようになる。組み立てやねじ締めといった電子機器業界や、食品や医薬品のピックアンドプレイスなどでも有効だ。
-今後について。
もともとユニバーサルロボットは中小企業での利用を想定して始まった。初期投資の少なさ、回収速度の速さ、ロボットの専門家やプログラマーでなくてもできるティーチングなど、中小企業でも導入しやすい機能を盛り込んでいる。
産業用ロボットの市場は、これから。ずっと人間が担当してきた分野が残っている。人間と一緒に作業できるユニバーサルロボットは、そうした分野にこそ最適。すでに自動車や電子機器、食品製造、医薬品業界などから多くの引き合いがあり、テストも行っている。これからどんな市場を作っていけるのか、とても楽しみだ。(つづく)