前回、IoTと関連するキーワードを「ウェアラブル」「エネルギーハーベスティング」「MEMS」を含めキーワード毎にカウントしてグラフ化した。その他のキーワードとして「センサー」「クラウド」「ビッグデータ」「スマートフォン」「インダストリー4.0」「M2M」などが挙げられる。
様々なセンサーや無線通信機器の低価格化と小型化が進んだことで、車、家電製品、工場内の産業機器、街中の自動販売機などあらゆるモノがネットでつながり、情報をやり取りできるようになった。米インテルの推計では、ネットでつながっている世界中の機器の数は2020年にはIoTの普及で500億台まで増えるという。例えば工場において組付け部品や材料にセンサーを取り付ければ、工程管理として納期や不良検知なども把握でき、ビッグデータとして活用ができるため、製造業でもネットでつながる機器は日々増えている。
民生品では、IoT関連機器の代表格はウェアラブル機器になり、センサーがキーデバイスになる。センサーは各種あり、その用途は、スマートフォン、ヘルスケア機器はもちろん、生体とも一緒になり、随所で使われ始めている。自動車や産業機器と異なり、ウェアラブルで使われるセンサーはその特徴から小型化と省電力化、コストダウンが強く求められる。
今後、IoTに関わる通信関連の規格や規約が注目される。また従来から言われている個人情報保護、セキュリティ規制に関する問題がますます大きくなる可能性がある。
ウェアラブル機器の普及に伴い、パソコンやタブレット端末などと常時通信し、稼働状況や画像データなどをやりとりすることが当たり前になってきている。通信規約や規格を明確にしなければ今後、IoT関連製品において多くの製品が、無線規格などへの対応でより多くの開発コストをかけなくてはならなくなり、メーカーは自社製品が推す規格を中心にビジネス展開を行おうとする。しかし、IoT社会は複数のメーカーの製品で構築される。そのため、もう一方の当事者である消費者が希望する利用環境を、メーカーが無視する可能性がある。また、IoT社会は素材からIT技術、センサー技術、アプリケーションの開発、組み込みなど複数の技術が必要になるため、多くの場合、1社では完結しない。そのため、いろいろな企業が組むオープンイノベーション型でビジネスを進めることになる。
多くのベンチャー企業やIT大手企業、通信情報企業や交流サイト事業者も米国が主流でIoTビジネスが進んでいる。この新たなビジネスが抱える課題や問題も米国で生まれ、それに対する解決策も裁判や判例などができつつある。その結果を反映して、さらに米国を主体に欧米各国の個人情報保護やセキュリティ規制が形づけられていくことになる。
IoTビジネスの動きは急激であり、かつ大きなうねりを持っている。その急激な動きは、IoTが生み出す複合した価値情報になり、日々その重要さ、重大さが増している。
※キーワード別記事掲載数は日刊新聞4紙(日経、日経産業、日刊工業、朝日)から抽出。(つづく)