AppleのiBeacon対応によって注目が集まる屋内位置情報サービス。タグキャスト(東京都千代田区九段北1―3―5、TEL03―3239―6821、鳥居暁社長)は、それに先駆けてBluetooth Low Energy技術を使った位置情報サービスを開発・提供し、2014年CEATECのソーシャルイノベーション部門でグランプリを受賞。米CESでも注目を浴びた。鳥居社長に詳細を聞いた。
-タグキャストの技術について。
タグキャストは、屋内や地下などGPSの電波が届かない屋内でも位置情報を提供できる新しい形の屋内位置情報サービスだ。Bluetooth Low Energyを搭載したビーコンを各所に設置し、スマートフォン(スマホ)と通信することで位置情報を測位できる。スマホを持った人がどこにいるか判別でき、さらにビーコンの通信範囲に入ったスマホに対して情報の提供も可能になる。
当社はビーコンの開発と製造、販売を通じて屋内位置情報サービスのインフラを整え、サービス企画やアプリ開発メーカーなどと協力して市場を作っていく。
-どんな用途に使えるのか?
例えばショッピングモールや地下街などGPSの電波が届かない場所に来た人に対し、地図やフロアガイドをデータで提供したり、来店した人に対してクーポンを配信するといった販促サービスも可能になる。
Webではユーザーの行動を収集してマーケティングに活用しているが、リアルの世界ではそれを取得する手段がなかった。タグキャストならWebと同様の仕組みを整えることができ、さまざまなサービスが提供できる。
また産業向けには、作業員のスマホとビーコンとの通信記録を収集し、動きの軌跡や滞在時間の見える化に利用できる。すでに作業効率化や勤怠管理に使いたいという問い合わせが来ている。
■シンプルで低価格
-RFIDやUWBなど、ほかの技術に対し、タグキャストの利用メリットは?
例えば可視化システムの場合、細かな日報管理や、カメラ撮影や歩数など各種データの収集・分析など大規模なシステム構成になり、高価なものがほとんどだった。
タグキャストはシンプルで低価格に屋内位置情報システムを構築できるのが最大の特徴だ。ビーコンは月間契約で1台500円。電池式で設置工事がいらず、単に置くだけでいい。あとはパソコンで設定するだけで使えるようになる。個人店舗なら1台から使え、ショッピングモールなど大規模施設なら数十台、数百台のシステムも簡単に安く作ることができる。
■可能性は無限大
-今後について。
屋内の位置情報サービスはこれからの市場だが、アプリの作り方によって可能性は無限大に広がっている。当社は世界に先駆けて関連特許を申請し、2014年に「電波強度によるアプリ連携」(第5650870号)を取得した。
また「ビーコンをクラウドで統合管理する技術」についても審査中の段階だ。
現在、屋内位置情報サービスでは一歩先を進んでいる。日本のサービス、ものづくりのオペレーションと組み合わせ、Bluetooth Low Energyを使った関連サービスを大きく育てていきたいと思っている。