ロボット導入を検討する時、ネックになりがちなのが”稼働範囲”。特に国内工場では既存設備への追加導入がほとんどで、設置スペースを取れず断念するケースも多い。 キャプテンインダストリーズ(東京都江戸川区船堀4―8―8、TEL03―5674―1161、渡辺敏社長)の「ゼロクランプ搬送ロボットシステム」は、マシニングセンタのパレットチェンジャの3分の1程度のスペースで設置でき、ワークや工具の自動交換を可能にする搬送ロボットシステム。詳細を聞いた。
−製品概要は?
ゼロクランプは、マシニングセンタや旋盤のすぐ脇に設置してワークや工具の自動交換を手助けする搬送ロボットと、効率的にワークを固定できる特殊なパレットシステムを組み合わせた搬送システムだ。ワークや工具の自動交換に役立ち、パレットチェンジャや多関節ロボットに比べて省スペースで設置できる。既存設備に後付けで導入でき、多くの企業から引き合いをいただいている。
−導入メリットは?
ゼロクランプのパレットシステムは、専用のボルトを挿入すると、ばねの力でがっちりと固定する特殊構造になっている。従来の固定方法のように、いくつものボルトやピンなどを組み付ける必要がなく、専用ボルトを組み込んだ固定ユニットを差し込むだけで簡単にワークを固定できる。これまでワークごとに用意していたパレットや冶具がいらず、大幅なコスト削減になる。 そして搬送ロボットは、パレットチェンジャや多関節ロボットよりも小さな稼働域で使えるので省スペース化に役立つ。これまでパレットは平置きで大きなスペースを取っていた。それを縦型のラックに工具とワークを収納するだけで良いので、大幅な省スペース化が出来る。
−そのほかの特徴は?
産業用ロボットはティーチングが大変だと言われるが、ゼロクランプ搬送ロボットはとても簡単だ。ラックの取り出したいものがある場所までアームを動かし、設定ボタンを押すだけで済む。複雑なプログラムが必要ない。 −これからについて。 このシステムは「1ラック1ジョブ」という設計思想で作られている。ある加工工程で必要なものは1つのラックにすべて収納し、別のワークを加工する時は別のラックを持ってきてプログラムを切り替えるだけ。無駄な作業がなく、効率的に次の工程に移れる。ヨーロッパでは広く使われているが、日本ではこれから。昨秋に発表したばかりだが、多くの引き合いが来ている。より効率的にパレット交換をしたいという機械メーカー、ユーザーに広めていきたい。 そしてオートメーションにおいて、今後も世界でリーダーシップを発揮することが、日本のものづくりが生きていく唯一の道と考えている。