植物工場 年率20~30%で増加 制御/照明の新市場創出で雇用拡大の波及効果も

植物工場への期待が高まっている。安全・安心な食糧の安定した供給に加え、植物工場稼働に伴うエレクトロニクス技術の活用や、雇用拡大への波及効果などが見込まれている。株式会社による農業経営参入に障壁が残る中、植物工場への企業からの参入は比較的容易であるだけに、今後さらに増えることが見込まれている。

国内の植物工場の数は、350前後あると言われ、この3年間で3・5倍に増えて年率20~30%の増加率となっている。

植物工場は、最も重要な光源によって、太陽光のみを利用したものと、完全人工光のみを利用したものでほぼ二分している。太陽光のみはビニールハウスの延長線とも言え、自然エネルギー活用のため低コストである。完全人工光のみはLEDや白熱球などを利用しており、もやしやキノコ、レタス、サラダ菜などが栽培されているが、圧倒的に多いのはレタスで、洗わないで食せることや、安定して生産できることが理由。

完全人工光のみの植物工場では、農作物に適した光源を管理する照明技術や温湿度、CO2濃度を制御する空調技術など、多様な制御技術が必要となる。

照明技術は光合成が伴うことから、現在よく利用されているLEDの制御技術が重要となる。

また空調技術も、生育に最適な環境条件を生み出す上で重要で、効率的な気流を作りだす必要がある。

こうした照明や空調を支えるのがセンサ技術で、植物工場内だけでなく工場外の温度、風速、雨量、日射量などをセンシングし、最適な育成環境を整えていくことになる。

植物工場の形態を問わず面積が広くなると、生育から収穫までの過程でロボットなどの自動化技術も求められてくる。自動化は、種子の選定から出荷まで多岐にわたり、新たな制御機器市場が創出する。

こうした人工光型植物工場の市場規模は2015年で100億円前後と見られ、今後5年間で200億円前後まで拡大するという予測も出されている。

今後、植物工場で栽培できる品目を拡大するとともに、砂漠など植物が育ちづらい地域への立地効果も期待される。

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