Weeklyサイエンス

■東大、エボラウイルスの新ワクチン開発。サルで有効性を証明
東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らの研究グループは、西アフリカ諸国で猛威をふるっているエボラウイルスについて、新しいワクチンを開発し、その有効性を霊長類のサルで証明した。

新しいワクチンは、エボラウイルスの遺伝子の一部を欠損した変異エボラウイルスを作り、さらにそれを過酸化水素水で不活性化して作製した。サルに接種して効果を評価したところ、ワクチンを接種したサルは致死量のエボラウイルスを接種されてもエボラウイルスに感染しないことが分かった。

■防衛医科大、痛風発症に関わる遺伝子を発見。予防や早期治療に道
防衛医科大学校の松尾洋孝講師らの研究グループは、痛風の発症に関わる5つの遺伝子領域を発見。痛風の発症リスクの高い人を早期に見つけ、どの病型になりやすいかを予測できるようになった。

痛風は尿酸値が高い状態が持続して激しい関節炎発作を引き起こす疾患で、高血圧症や腎疾患、心疾患、脳血管障害などのリスクにもなることが明らかになっている。生活習慣に関わらず痛風を発症する人としない人が存在することから、これまで遺伝的要因の関与も考えられていた。

今回の研究では、医師によって診断された痛風症例のみを対象としたゲノムワイド関連解析を実施。

痛風患者の遺伝的リスクを発見するための重要な遺伝子が明らかになり、予防や最適な治療に有益と期待されている。

■岡山大、長寿命の新・触媒の開発に成功。燃料電池の電極などに期待
岡山大学異分野融合先端研究コアの仁科勇太准教授らの研究グループは、市販の白金―炭素複合体に比べて数倍の耐久力を持つ白金と酸化グラフェンの複合体の次世代材料を作成し、優れた触媒活性と長寿命の触媒の開発に成功した。

酸化グラフェンは二次電池や透明導電膜、触媒、環境浄化材、潤滑剤など幅広い用途で研究が進んでいる。

白金とグラフェンの複合体は均一系触媒反応だけでなく、ガス系の触媒反応においても高い活性を示し、燃料電池の電極触媒などへの応用が期待されている。

今回の研究では、非常に薄い炭素シートに白金微粒子を固定化すると同時にシリカコーティングを施して耐熱性と耐久性を実現。

高温での触媒反応後でも、活性を長期間にわたって持続できることが分かった。

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