イクシスリサーチ(川崎市幸区南加瀬5―18―16、TEL044―589―1500、山崎文敬社長)は、インフラのメンテナンスロボットを得意とし、業界内外から絶大な信頼を得ている。同社のこだわりは「徹底した現場主義」。ユーザーの課題解決に必要な要素を検証し、最適なロボットを作り上げる。「当社が作るのは空飛ぶヒト型ロボットではない。本当に”役立つロボット”だ」という山崎社長に話を聞いた。
-会社もロボットも非常にユニークだ。
そもそもロボットを導入したいという企業の真意は、ロボットが欲しいのではない。導入による効果を求めている。しかし、日本のロボット業界ではこれが理解できていない。まず既存のロボットありきで話が始まり、それを現場でどう活かすか、から考える企業・人が多い。それゆえに当社がユニークに映るのかもしれない。
ロボットを作るのはメーカだが、使うのは作業員だ。彼らの技量に合わせてシンプルさが重要になる。
-ロボットありきとは具体的にどんな感じなのか?
例えば、ある道路の老朽化点検のコンペで、一つの企業がドローンによる自動空中点検装置を持ち込んできた。注目を集めたが、装置の落下対策がなく、発注者から「現場で使えない」という判断が下された。後に不採用の理由を尋ねたら「技術的には素晴らしい。でもドローンの下には自動車も歩行者もいる。空中で点検をする限り絶対に落下物があってはいけない」と言い、もっと点検の現状に合わせた提案が欲しいと残念がっていた。
-逆に御社のロボットはどのようなものなのか?
例えば、橋の裏面の老朽化点検ロボット「ロープストローラ」は地味でローテクだが、現場の評価が非常に高い。
橋の老朽化点検では、橋の裏面を1枚ずつすべて写真撮影し、ヒビや劣化部分を記録する。時折、撮影に失敗することがあり、現場の作業員はそれにストレスを感じていた。ロープストローラは、シャッターは必ず人間が押すという半自動にとどめ、ただし一定以上の振動下ではシャッターが押せない機能を付け、撮影失敗を防ぐようにしたところ現場の作業員からとても喜ばれている。
-これからについて。
日本のインフラは老朽化が進み、点検が必要だが人手が足りずに困っている。現場で望まれているのは、今すぐ導入できてシンプルなメンテナンスロボットだ。
当社は、メンテナンスロボットに取り組んで10年以上の実績とノウハウがある。それを生かしてメンテナンス業界の課題解決に貢献したい。そして、いままで重ねてきた大小さまざまな実績をもとに、新しい業界や分野、それぞれの課題解決に取り組んでいく。