日本電機工業会(JEMA)は、2015年(平成27年)度の「電機工業技術功績者表彰」の受賞者を発表、10日に経団連会館で表彰式を行った。
今回で64回目となるこの表彰は、重電部門・家電部門・ものづくり部門の各分野において、新製品・新技術開発などによって優れた成果を挙げ、電機工業の進歩発達に貢献した企業と人を表彰している。
今年度は正会員企業43社から102件(198人)の応募があり、最優秀賞1件(2人)、優秀賞3件(6人)、優良賞5件(10人)、奨励賞51件(99人)の合計60件(117人)が受賞した。
また、委員会活動での優秀賞は「太陽光発電用パワーコンディショナ直流側伝導妨害波の測定方法及び限度値の国際規格(CISPR11)への反映」で分散型電源EMC検討委員会の1件21人、優良賞は「産業用モータの省エネ法トップランナー化、規格類の整備及び普及促進」で高効率モータ普及委員会誘導機技術専門委員会の1件28人が受賞した。
最優秀賞は「世界初オールSiCモジュールを適用した太陽光発電用パワーコンディショナの開発」で、富士電機の大島雅文氏と能登泰之氏が選ばれた。
また、優秀賞の『重電部門』では、「大型地熱蒸気タービン用ロータ材料の開発と実用化」で東芝の閻梁氏と和田一宏氏、『家電部門』では「おしり揉ねつマッサージ機能を搭載したマッサージチェアの開発」でパナソニックの森田芳年氏と渥美将利氏、『ものづくり部門』で、「重量物の組立・搬送工程の省人化を実現する油圧―電動ハイブリッド駆動型双腕ロボットの開発」で東芝の高橋宏昌氏と大賀淳一郎氏が選ばれた。
最優秀賞の「世界初オールSiCモジュールを適用した太陽光発電用パワーコンディショナの開発」は、パワーコンディショナ(PCS)に自社開発のSiC(シリコンカーバイト)のショットキーバリヤダイオード(SBD)とMOSFETを直流の昇圧回路に適用し、直流―交流変換するインバータで従来の3レベル回路を適用した。変換効率で99%以上を実現できるオールSiCを用いた昇圧回路を適用することで、太陽電池の電圧変動を補正し、年間を通じてインバータの効率を高い状態(98%)で運転させるPCSの開発に成功した。
『ものづくり部門』の優秀賞に選ばれた「重量物の組立・搬送工程の省人化を実現する油圧―電動ハイブリッド駆動型双腕ロボットの開発」は、セルロボットのアクチュエータで、重いものを持つ腰・肩・肘部には油圧式を採用し、フィードフォワードや不感帯対策などフィードバック制御の工夫で制御性能を向上した。同時に柔軟な姿勢変化や高度な位置決め実現のために、手首部は従来の電動式アクチュエータ3軸を採用した油圧―電動のハイブリッドにすることで、重量物も搬送可能なセルロボットを実現した。これにより、従来のセル生産ロボットが有する複雑な作業を柔軟に対応する能力を併せ持ち、人と同等サイズ(肩幅700ミリ)ながら両腕の可搬重量で100キログラムを可能にしている。
優良賞は次の通り。
▽「Liイオン電池搭載電気自動車対応高容量EVリレーの開発」パナソニックの榎本英樹氏と池田陽司氏▽「高効率と省資源を両立するモータ用ネオジム磁石の高能率・高精度磁化評価技術の開発」日立製作所田中秀明氏と日立産機システム相馬憲一氏▽「次世代シーケンサMELSEC
iQ―Rシリーズの開発」三菱電機の千波保彦氏と鈴木孝幸氏▽「暖房能力の向上及び冷気カットによる省エネ改善を実現させたエアコン霧ヶ峰Zシリーズの開発」三菱電機の岡崎淳一氏と池田孟氏▽「世界最小容積、世界最高効率を実現した電源回生機能付き高圧トランスレス5レベル」明電舎の長谷川勇氏と迫博巳氏。