日本のサービス業の原点、おふくろの味とおもてなしの心【前アマダ専務高木俊郎のニッポン製造業再起動!】

和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたが、「和食と日本食の違いは何か?」と言われると答えに困る。専門家によると、伝統的な懐石料理や郷土料理が和食で、カレーやラーメンなどは日本食だという。和食はある特定のものを指し、日本食は日本で食べられる食事全般のことを呼ぶらしい。

日本食は何百年にもわたる工夫の結果、米、発酵、だしといった基本要素が生まれ発達してきた。しかし、それだけで今の日本食になったかというと、そうではない。昔から日本の食事は母親が作る家飯(いえめし)が中心だった。日本食の基本要素に、母親のおもてなしの心と創作活動が加わった家飯から日本食は発展してきた。母親の作る“おふくろの味”こそ日本文化の象徴だ。

世界を渡り歩くと、日本のおもてなしが妙に懐かしく、チップを貰うサービスに違和感を覚える。それは”母親文化”の影響かもしれない。「家飯は和食か日本食か?」おふくろの味は、果たしてユネスコ無形文化遺産に含まれるのだろうか?

高木俊郎(たかぎ・としお)
株式会社アルファTKG社長。1953年長野市生まれ。

2014年3月まで株式会社アマダ専務取締役。電気通信大学時代からアジアを中心に海外を訪問して見聞を広め、77年にアマダ入社後も海外販売本部長や欧米の海外子会社の社長を務めながら、グローバルな観点から日本および世界の製造業を見てきた。

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