三菱電機の柵山正樹代表執行役社長は、今後の経営戦略で記者会見を18日行い、2020年度の売上高5兆円達成時におけるFAシステム事業を含めた産業メカトロニクス事業の売上高比率30%、営業利益率13%以上を目指す計画を明らかにした。
また、「中国市場では今上期は受注をもらっているが、下期が不透明である。円安に伴う製造業の国内回帰の動きは、FA事業で底堅い効果を期待している」と語った。
同社の15年3月期の産メカ事業は、売上高1兆2827億円で(全社売上比率29・6%)、営業利益1459億円(営業利益率11・4%)で、今期は売上高1兆3000億円(同29・7%)、営業利益1520億円(同11・7%)を見込んでいる。
20年度には、産メカ売上高を1兆5000億円、営業利益1950億円の達成を目指す。このうち、FAシステム事業では、製品競争力の強化と事業領域の拡大、新興国を中心とした市場開拓、ICT技術活用によるe-F@ctory提案の強化を重点に進めるが、「e-F@ctoryの推進では、上位系につなぐセンサが現在十分持てていない領域である。さらに品ぞろえがあったほうが良いと思う」(柵山社長)。
また、インダストリー4・0やインダストリアル・インターネットなどの新しいものづくり概念について柵山社長は「メーカーとして先取りしていく必要がある。これからの動き次第であるが、日本やアジアの国が入りにくいような状況が生まれるのは困るので、政府の力も借りながら国際標準化に乗り遅れないようにしたい」とした。
さらに今期の産メカ事業の見通しについて「中国はスマートフォン向けに大きな需要があり、今上期は受注をもらっている。ただ、下期は不透明であり、自動車も若干減速するのではないかと思う。しかし、利益はこれまで取り組んできた成果を刈り取っていける」と述べた。
円安での国内回帰の動きついては柵山社長は「FAでの底堅い効果を期待している。一方、ユーロ安でロシアの空調機器やFAが影響を受けている」とし、「順風満帆の雰囲気が漂うのはまずい。世界的な景気のリセッションに備えをしっかり行っておく必要がある」と強調した。