CC-Link、Profibus、EtherNet/IPなどの各種フィールドバスが普及するなか、産業機器メーカにとっては各規格への対応が大きな負担になっている。東京エレクトロンデバイスの小型モジュール「TB-7Z-IAE」は、機器に組み込むだけで複数のフィールドバスに対応し、しかも機器のインテリジェント化も可能になる。開発期間の短縮やコスト削減に効果的だ。
インダストリ4.0やIoTなどの追い風もあり、製造設備や検査装置など産業機器のネットワーク対応はいまや必須になっている。しかしフィールドバスは10種類以上あり、それぞれ基板設計も違ってくる。開発期間の長期化やコスト増の原因になっていた。
「TB-7Z-IAE」は、名刺サイズの基板上に、ザイリンクス社のプログラマブルSoC「ZYNQ7000 All Programmable SoC」と周辺デバイスを集積させた小型の組み込みモジュール。2chのGigabit Ethernetを搭載し、1台で複数のフィールドバス規格にソフトウェアを書き換えるだけで対応できるようになる。
「従来は規格ごとに基板デザインを変えなければならなかった。TB-7Z-IAEを使えば、基板デザインは共通のまま、中身のプログラムを書き換えるだけで複数の規格に対応でき、Zynq内の空いた領域で画像処理等も可能」(PLD事業部PLDソリューション部阿部一記氏)。
さらに、ZYNQ7000 All Programmable SoCは非常にハイスペックで、従来のSoCではできなかった複雑で大きなデータの処理が可能。機器のインテリジェント化を実現する。
例えば「基板検査のような画像処理システムで、これまではカメラで取った映像をPCとFPGAを使って処理していたものが、カメラに組み込んだTB―7Z―IAEひとつで済むようになる」(阿部氏)と言う。ほかにもスレーブ機器単独でデータ処理することで、マスタ―スレーブ間のデータやりとりが少なくて済み、ネットワーク全体の安定稼働に役立つ。
同社は半導体商社として培った技術力を生かし、『inrevium』という自社ブランド製品を展開。TB-7Z-IAEもその一つ。
阿部氏は「今後はInreviumを伸ばしていきたい。これまで評価用ボードを多く出してきたが量産製品は初めてである。部品はすべて産業用グレードを使い、組み立ても国内のメイドインジャパン製で、信頼性はとても高い。カメラや半導体製造装置、スマートメータ、監視装置など画像処理系のアプリケーションにぜひ使って欲しい」と話している。