富士通は今年3月、次世代ものづくりへの取り組みを開始し、同時にロボットのシステムインテグレータ(SIer)事業をスタートさせると発表した。そこで、「富士通が進めるロボット導入支援とは」について、同社産業・流通営業グループ(ものづくりビジネス担当)熊谷博之プリンシパル・コンサルタントと、ものづくりビジネスセンターものづくり革新ビジネス推進部高鹿初子マネージングコンサルタントに聞いた。
-日本のロボット市場をどう見ているか。
熊谷氏 多くのロボットメーカーがあり、優秀な製品がそろっているにもかかわらず、活用が一部にとどまっている。日本でロボットSIerの数はヨーロッパの20分の1以下と言われ、SIer不足が問題だ。
-SIer事業に参入する理由は。
熊谷氏 ロボットを含め、従来から開発環境や生産技術の高度化に取り組み、社内実践を繰り返してきた。2013年からはそのノウハウを搭載した製品・サービスを「ものづくりソリューション」として提供してきた。
高鹿氏 SIerが不足するなかで、生産技術部がないメーカーや中小企業がロボットの導入を進められないのは悲しいこと。当社の技術と経験を提供し、業界を底上げしたい。特に、いままで自動化したくてもできなかったところ、例えばエレクトロニクス業界で言えば電子部品へのシール貼りやチップの挿入など、細かくて緻密な制御が必要なところなど。小型の多関節ロボットを数台使うような用途、中堅中小企業を想定している。
熊谷氏 4月1日から専門組織として「ものづくりソリューション事業推進室」がスタートした。社内でロボットやIoTを強化し、それをリファレンスモデルとした新たなソリューションを10月から順次提供する。
-どんなソリューションになるのか。
熊谷氏 当社はメーカーの枠にとらわれず、ニュートラルな立場でユーザーに最も有益なシステム構築を行うことを基本姿勢としている。制御プログラム言語やUIが各社ごとに異なっているが、それを吸収する。ラッパーを開発し、各社共通のAPIを構築しようとしている。またティーチングに関しても、実機の代わりに3Dデジタルデータを使い、製造工程をシミュレーションできるソフトウェアであるVPSに機能を追加し、ティーチングプログラムを自動生成できる機能を開発している。VPS一つで全メーカーのプログラムを作れる環境を作ろうとしている。
-これからに向けて。
高鹿氏 当社の国内工場ではインダストリー4・0や次世代ものづくりと言われるような最先端の生産を行っている。例えばノートパソコンを作っている島根工場では、ICタグで製品を管理して混流生産を行っている。また、生産性を倍にすることで国内でも十分やっていけることを証明した工場もある。蓄積した技術とノウハウを、SIerとして皆様に提供していきたい。
熊谷氏 当社のロボットのSIerは始まったばかり。当社だけですべて出来ると思っていない。多くのメーカーや他のSIerと連携し、最適な製造工程づくりを支えていきたい。
http://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/manufacturing/monozukuri-total-support/