安全柵がいらず、人と並んで作業できる協働ロボット。その世界的なリーダー企業であるデンマーク・ユニバーサルロボット社のエンリコ・クロー・イバーセンCEOが5月21日に来日し、今後の事業展開について説明した。
同社は2005年にデンマークで設立。多関節アーム型の協働ロボットURシリーズを開発し、現在は可搬重量5キロのUR5、10キロのUR10に加え、新製品の可搬重量3キロのUR3をラインアップしている。
他社に先駆けて協働ロボットに取り組み、グローバル市場に展開。デンマークの本社をはじめ、中国とアメリカ、シンガポール、インド、スペインにオフィスを設置。近く中国、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパに拠点を追加する予定という。
現状について「いまは09年の1年間に販売した台数よりも、1週間で売れた数の方が多い」(イバーセンCEO)と言うほどに絶好調。
売上高は17年に10億デンマーククローネ(日本円で約180億円)を目指すとしている。
産業用ロボットを取り巻く環境について、イバーセンCEOは「協働ロボットによって、危険・難しいと見られていた産業用ロボットに対する考え方が変わってきた」と見ている。安全・簡単・柔軟という強みを生かして多角的に展開している。
世界で納入した企業は事業規模も業界もさまざま。従業員数5人、CNC工作機械が5台程度の中小企業や、手術用ロボットとして医療業界や、食品業界など幅広く納入しているという。
「世界の製造業の97%は中小企業。当社はそこにフォーカスをしている」(イバーセンCEO)という。
一方でBMWのような世界的企業にも多くの台数を納めており、ロボットと作業員が協働する最先端の生産ラインを実現している。
日本市場については、「世界で3番目に大きな市場として重要」(イバーセンCEO)との位置づけ。自動車やエレクトロニクスをはじめ、他の産業への普及も視野に入れ、パートナー企業と協力して力を入れていく。
これから協働ロボット分野は大手ロボットメーカーの製品投入によって競争激化が予想される。イバーセンCEOは「協働ロボットでは当社が世界的なリーダー。その位置を守るために商品開発に力を入れ、ユーザーに対する価値を作っていく」と話している。