半導体製造装置協会(SEAJ)は5月26日、東京都千代田区の銀行倶楽部で春季講演会を開催した。産業技術総合研究所=写真=知能システム研究部門の大場光太郎副研究部門長を講師に招き、「ロボット事業化の課題」と題した講演を実施。会員を中心に約100人が耳を傾けた。
講演では、ロボット市場の現状を、世界では稼働台数が年々増加し、世界の3分の1のロボットが日本で稼働していると説明。2025年の国内の労働力人口は05年に比べて470万人も減少し、その分をロボットが補うと予想した。
2010年代には産業用ロボットをはじめ、清掃ロボットや搬送ロボットのような移動型の作業ロボット、防災や点検ロボットが活躍。さらに人間に装着して歩行をアシストする人間装着型ロボット、セグウェイのような搭乗型ロボットの産業化を期待しているとした。
特に生活支援ロボットに向けた期待は大きく、NEDOの実用化プロジェクトを紹介。さらに、リスクアセスメントの重要性や設計のポイントなどを解説した。
講演後の質疑応答では鉄腕アトムのようなヒト型ロボットはいつできるのか?と聞かれ、「すでに個別の技術はそろっている。人と会話できるロボットもある。でも大事なのは、ヒト型ロボットを作ることではなく、それによって何を実現するかだ。そのためにはいろいろな意見が必要。皆さんのような業界からもこんなロボットがあれば便利だ、こんな課題を解決したいという意見を聞かせてほしい」と要望した。