ジャパンプローブ(横浜市南区中村町1-1-14、TEL045-242-0531、小倉幸夫社長)の「曲探」は、曲げて検査ができる超音波フレキシブルアレイプローブ。ワークに当てるだけで表層欠陥や内部欠陥を見ることができる。航空機や計測器関連の大手メーカーを中心に導入が進んでいる注目の検査装置だ。生産技術課の平野大輔課長に話を聞いた。
-「曲探」とはどんな製品か?
平野氏
超音波検査装置は、医療機器のエコー装置と同様に、金属やCFRPなどのワーク内部の欠陥検査や品質検査に使われる。「曲探」は超音波検査装置に接続して使うシート状のプローブで、曲げて使える柔軟性が最大の特徴だ。
-これまでのプローブと何が違うのか?
平野氏
従来のプローブはステンレスやアルミといった金属製で、ワークへの接触面が平面のものがほとんどだった。ワークの曲面を検査する際は何回も不安定な状態でプローブを当てて測るか、ワークごとに曲率付きの専用プローブを作るしかなく、検査の手間とコストがかかっていた。
一方、「曲探」はゴムシートのように柔らかいのでワークのR形状に密着させて使う。初心者でも簡単で精度よく測定することができる。
-ほかにどんなメリットがあるのか?
平野氏
「曲探」はコンポジット振動子と整合層、ダンパー材を加えた3層構造になっている。高感度の整合層と、不要な超音波ノイズを吸収する独自開発のダンパー材によって従来の超音波検査装置を大きく超える高精度を実現した。波形が乱れやすい表層付近や、これまで見逃していたような小さな欠陥も詳しく見ることができる。
平野氏
すでに航空業界から実用化評価を受けて採用されている。凹凸や湾曲部が多い航空機の主翼やヘリコプターのローターの欠陥検査用に使われているようだ。
このほか湾曲部や溶接部が多いプラントや配管の点検用、表面が荒く検査の難しい機械部品や鍛造部品、CFRPなど先端材料の検査に最適だ。
さらに柔らかくて密着するという特徴を生かし、乳がん検査装置や首に巻いて血液中に血栓があるかどうかを調べる検査装置など医療分野からも引き合いが多い。
-これからについて
平野氏
「曲探」という名前には「曲げて探査できる、局部を探査できる、極端な性能を持っている」という三つの意味がある。薄くて曲げられて、しかも精度が高い。これまでの超音波検査とは違った使い方ができるようになる。X線や渦電流、赤外線、レーザーとは違う検査手法として、これまではできなかった分野などアプリケーションを増やしていきたい。