ステッピングモータ、ACサーボモータ、リニアモータ、単軸ロボットなど、自動化装置に活用されるアクチュエータの精度や使い勝手が進化している。なかでも最も汎用性が高いといわれる「ステッピングモータ」「ACサーボモータ」について、基礎技術から最新動向を取材した。
まず、ステッピングモータ大手のオリエンタルモーター(東京都台東区)によると、ステッピングモータとACサーボモータでは、エンコーダの有無だけではなく、動作原理が大きく異なるという。ステッピングモータは小歯を持つステーター(固定子)とローター(回転子)の二つの部品から構成され、励磁相を順次電気的に切り替えることで、小歯一つ分の動作を精密に行う。ショートストロークで短時間の位置決めや、同期運転を得意としているが、位置センサを内蔵していないため、想定外の負荷が加わった場合など位置ずれを補正できない。
対してACサーボモータは内蔵したエンコーダからのフィードバックを考慮しながら、電流量で速度・位置・トルクなどを制御するため、トルク制御や高速回転を得意としているが、大慣性駆動などの場合はチューニングが必要。
そこで、オリエンタルモーターではステッピングモータで位置情報を監視・補正するためのセンサを内蔵した「クローズドループステッピングモーター(αステップ)」をラインアップに加えている。「これにより信頼性の高いシステム構築が可能」という。さらに、バッテリーレスで絶対位置を保持できる、機械式の「ABZO(アブゾ)センサ」も開発。製品への搭載が進んでいる。
同社によると、モーター自体の精度や安定性は、加工精度やコイルの巻き線のバラツキなどに大きく依存するため、基本となる生産技術力が製品の競争力に寄与するという。今後も、各社のさらなる技術開発が期待される。