ルネサスエレクトロニクスが提供する「R-INエンジン搭載LSI」が、産業用イーサネット機器へ採用実績を着実に増やし、既に世界7カ国、約200社で採用されている。
R-INエンジンは、「32BitCPU」「ハードウェアリアルタイムOSアクセラレータ」「イーサネットアクセラレータ」を搭載し、産業用機器に必須の「高速タスク処理」「低揺らぎ処理」「低電力処理」と「高速イーサ通信」を実現したエンジン。
特にリアルタイムOS処理と通信処理を、ソフトウェアではなくハードウェアで処理することで、通信負荷とCPU負荷の両方の低減を実現、高速処理・低電力通信を可能にしている。産業用機器では、遅れや処理時間のゆらぎが、装置の性能や作り出される製品の品質に直結する。そのため、この「リアルタイム性」が各産業機器メーカーで採用が続いている理由の一つと考えられる。
また、インダストリー4・0時代を迎え、クラウド上に生産現場のデータをビッグデータとしてアップ、解析するといった企業の提案が多くみられる。しかし実際は、リアルタイム性やセキュリティの壁があり、大部分のデータは生産現場の機器間で完結したデータ処理が必要なため、「R-IN」の特徴は小さなデータを高速で大量に処理する「生産現場での”自律した”M2M用途」に適している。代表的な対応ネットワークは「CC-Link IE」「Ether CAT」「EtherNet/IP」「PROFI NET」。
さらに、今年10月には通信速度1Gbpsを誇る「CC-Link IE Field」に対応した新製品「R-IN32M4-CL2」のサンプル出荷を開始する予定で、同社は評価ボードを7月7日(大阪)と9日(東京)に開催される「産業オープンネット展2015」に出展する。
同製品はギガビット対応イーサネットPHY(電気信号とデジタル信号を変換するチップ)を搭載しているため、PHY周辺の高周波アナログ回路を気にすることなく、ハードウェア設計が可能となっており通信周辺の設計期間の短縮や、製品の基板実装面積の削減にも寄与する。
「R-INコンソーシアム」も4月に設立された。会員に対しての最新情報提供や、メンバー間での産業市場動向に関する情報、産業ソリューション事例の共有など、積極的な情報発信活動をグローバルに行うことにより、同社およびパートナー同士のコラボレーション創出の場として、同コンソーシアムの活動が注目される。