品質要求が厳しくなるなか、ハイスピードカメラやサーモグラフィといった特殊カメラを工程に導入する事例が増えている。「FLIR」ブランドを展開するサーモグラフィのトップメーカー、フリアーシステムズジャパン(東京都品川区上大崎2-13-17、TEL03-6721-6648)の香川大造カントリーマネージャーに話を聞いた。
-サーモグラフィの現況について。
香川氏
かつての国内のサーモグラフィ市場は、機器自体が高額だったこともあり、研究開発や、電気設備、建築の老朽化、水漏れ診断など一部のユーザー・用途に限られていた。そのなかで各社が奪い合う構図が長年続いてきた。
それに対し当社は、マーケットの拡大を課題とし、これまで使われていなかった市場を開拓することで国内におけるシェアを獲得してきた。
特に50万円以下の手ごろな価格帯の製品ラインナップを豊富にそろえることで、品質管理やメンテナンス用途で製造現場においても導入する例が増え、新たなユーザーを増やしている。食品関連にも広がり始めている。
-市場拡大に向けた戦略は?
香川氏
一人でも多くの人にサーモグラフィに触れてもらうことが重要になる。そのカギを握るのが昨年開発した超小型の赤外線カメラモジュール「Lepton」だ。小指の爪の先よりも小さな極小サイズで、これまで以上に小さくて低価格の製品が作れるようになった。このLeptonを搭載した戦略製品が、5月にリリースした10万円を切る低価格の超小型サーモグラフィ「FLIR C2」だ。
C2は、片手で持ってポケットに収まる超小型で薄型軽量。スマートフォンやデジカメ感覚で使えるサーモグラフィだ。可視画像と熱画像を一度に撮影できるデジカメ機能や、精密で鮮明な熱画像の「MSX」など、小型ながら上位機種と遜色ない機能を搭載している。エントリーモデルとして訴求していく。
またもう一つの戦略製品が、熱画像を表示しながらピンポイントで物体の温度計測ができるサーマルイメージ放射温度計「TG165」だ。数値しか表示できない従来型の放射温度計よりも効率的に作業ができる。6万9800円と価格を抑えており、幅広い業界の人に使ってもらいたい。放射温度計からのアップグレードを狙う製品で昨年末発売以来、販売も非常に好調だ。
-今後について。
香川氏
キーワードは「infrared everywhere」。サーモグラフィを有効活用できる分野はたくさんある。1人1台持ってもらえるように日本のマーケットをリードしていく。
また当社は、カメラ本体2年、検出素子10年の製品保証を提供し、この期間内であれば無償交換する。安心して品質の良さを実感して欲しい。