日本のIoTの現状は?高度化進む工場に対し、遅れるグローバル化と組織化

世界の流れを受け、日本でも製造業の新たな仕組みづくりが行われている。「ロボット新戦略」にもとづくロボット革命イニシアティブ協議会や、民間主導で”ゆるやかな標準”を目指すIVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ)など。ただしインダストリー4.0やインダストリアルインターネットに比べると組織力や推進力が脆弱で、メッセージ性も乏しい。彼らと対抗する形で組織を強化して主導権争いに加わるのか、それともレールにうまく乗る方法を探るのか。日本の製造業は分岐点に差し掛かっている。

各企業レベルで見ると、日本の製造業、特に工場は高度化されている。その一方で未熟な部分も見受けられる。

日本の生産技術や製造技術は優秀で、改善を通じてアナログ時代から製造工程の最適化を進めてきた。センサやIT技術の活用にも早くから取り組み、「次世代ものづくり」「スマート工場」など、高度化している。

しかし、企画や商品開発、3Dデータやシミュレーションを使った設計など前工程や、データの一元管理は遅れていると言われる。

また、次世代の製造業はグローバル市場が舞台となるが、それに対する営業・サポート体制やSCMの構築など後工程は手つかずの企業が多い。特に中小企業は国内市場または海外の日系メーカーに対するビジネス経験しかないケースもあり、グローバル対応は大きな課題だ。

一部では、第4次産業革命はインターネット技術をベースとした「製造業のオープン化」に過ぎず、今の延長線上で考えるべきという意見がある。自社の優位性を磨き、市場での立ち位置を確保することが第一で、その上でIoTとグローバル化に対応させることが重要としている。

IoTによって一連の工程がつながり、対象市場がグローバルに広がり、従来のビジネスモデルから変化している。そのなかでいかに利益を出していくか。日本の製造業には、それに対する仕掛けが求められている。

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