ソフトサーボシステムズ(東京都立川市曙町3-4-3、TEL042-512-5377、ヤン・ブホ社長)が開発、提供している「ソフトモーション」の技術が注目を集めている。
ヤン社長によると、同社のソフトモーション「WMX」を用いることで、「半導体前工程でも採用されるほどの安定性と、超高速かつ多軸での同期制御が汎用PCを用いて実現できる」という。特にEtherCATの場合は、一切専用のハードを必要としないため、LANポートが搭載されていれば、市販のPCがそのままモーションコントローラになり、ハードに関わるコストが大幅に削減できる。ファンやHDDなどの駆動部がない同社の産業用PCと組み合わせることで、幅180ミリ、厚さ33ミリのコンパクトサイズでEtherCATマスターコントローラが構築できる。
また、安定性については、マルチコアCPUの一部のコアをモーション制御で占有し、安定性を担保。残りのコアでWindowsなどの汎用OSを稼働させることで、画像処理、データ処理などのPLCでは処理できない高度な制御とモーション制御の安定性を両立している。実際、韓国最大の半導体装置メーカーSEMES社でも採用され、世界最大の半導体メモリーメーカーとなったサムスンの前工程で多数採用されている。
ウエハ処理を行う前工程は、ライン停止による損害額が他製造業と比べても大きく、最も安定稼働が求められるとも言われる。そのためノイズ試験など2年間にわたりテストラインで不具合がないか検証。そのうえで採用に至ったほど、同社製品の信頼性は高い。もちろん万が一のハード的なトラブルに備え、冗長化にも対応している。
汎用PC(CPU)を採用した理由は明快で「専用チップに比べ、処理能力がはるかに高いから」。オムロンも汎用CPUの高い能力に目をつけ、自社製コントローラに搭載しているほどだ。同社のソフトモーションを使うと、実際に64軸もの多軸制御を0.5msの周期で制御でき、専用機と比較しても最速クラス。現在は128軸タイプの開発も進めているという。
ハードに依存しないため、専用部品を搭載している専用機と比べ、長期間安定してシステム提供ができる部分もメリットだ。PLCや専用チップの生産停止により、ハード供給できなくなる心配も不要。また同社の場合、「EtherCATマスタスタック」を自社開発しており、今後発売される未知のスレーブにも自社の技術で対応できる。
「ソフトモーション」のコア技術は、エンジニアでもあるヤン社長が米国マサチューセッツ工科大学で研究していた1997年に開発。CPUクロックのばらつきなどもソフトウェアで克服し、高い同期性を確保。ヤン社長は普及に向けての障害として「ソフトウェアで制御することに対する”マイナスイメージ”だけ」と述べ、特徴である「信頼性」「高速性」などのメリットを広く訴求していくとしている。