世界一の省エネ性能を誇る日本の自動車。そのキーデバイスとなるエンジンの微小部品の加工を支えているのが、セイコーインスツル精機事業部の工作機械だ。時計の精密部品の加工にルーツを持つ”匠の技”で、省エネ性能の向上に貢献している。
柿島章浩工機部長によると、同社の特徴は「匠・小・省」。高い技術力をベースに、小さな部品を小さな機械で作り、省エネや時間短縮、コスト削減を顧客に提供する。
「もともと顕微鏡を使わないと見えないような時計部品を加工・組み立ててきた技術基盤がある。大きなものを大きな設備で作る工作機械メーカーは多いが、小さな部品を小さな設備で高精度に作れるメーカーは珍しい」(柿島工機部長)。
主力製品は、筒状の内面を加工する内面研削盤。特に燃料噴射ノズルやポンプなど自動車エンジンの微小部品、ベアリングの精密加工を得意としている。柿島工機部長は「加工物の外径は大きくてもφ20ミリメートル程度。事業分野も小さな部品の加工などニッチな分野に絞っている」という。
さらに、ダンピング性能に優れ、疲労破壊しない静圧テーブルや、高精度な平面度を実現するきさげ技術など、40年培った基盤技術は、自動車メーカーなどから高く評価されている。また超精密の研削加工で培った高速回転技術を生かしてスピンドル単体を「SIIスピンドルシリーズ」として外販している。
今後について柿島工機部長は「さらなる回転体の高速化や研削精度の向上など、ニッチでナンバーワンを目指していく。またインダストリー4.0などにも装置メーカーとして対応していかなければならない。センシング機能なども付与し、止まらず安定稼働するような機械として進化させる」と話している。