キヤノンは、パレット内にバラ積みされた小型部品の3次元認識ができるマシンビジョン「RV300/500」を発売した。多関節ロボットと組み合わせ、電子部品や自動車部品などの3Dピッキングができ、生産ライン自動化によるタクトタイム短縮やコスト削減などを実現する。
産業用ロボットのなかで、技術的課題と言われているのが「目と手」。人のレベルには遠く及ばず、各社が試行錯誤を繰り返している。同社は、昨年発売した「RV1100」に続き、より小さな部品に対応した3Dマシンビジョン2機種を追加した。
RVシリーズは、画像データと3D CADデータのマッチング処理によって高い部品認識力を実現。RV300は最小10ミリ×10ミリ、RV500は20ミリ×20ミリの小型部品を1.8秒で認識でき、繰り返し再現性もプラスマイナス0.1ミリと高精度。部品の位置や向きを瞬時に3次元で認識し、従来のロボットピッキングで必要だった2次元ビジョンセンサや部品の仮置き台向きをそろえるためのパーツフィーダーなども不要。
「RV1100が最小45ミリ角で、自動車部品の認識に最適化されていたのに対し、新製品はもっと小さなもの、コネクタやモジュール、ネジといった電子部品や機械部品のピッキングに適している」(産業機器販売事業部・生産革新機器営業部販売課・佐藤雅広主任)。
本体は、カメラとスキャナの一体型で、幅256ミリ×厚さ206ミリ×高さ124ミリ。B5サイズより少し大きい程度で、重さは6.4キログラム。産業用ロボットは油や粉塵の飛散、振動など過酷な環境で使われることが多く、同製品はIP54相当の防水・防塵性能ファンレスの自然冷却など、産業用途に最適な設計。
設置や設定もシンプル。対象範囲の真上に本体を設置し、電源やカメラ用ケーブルをPCにつなぐだけ。ワーク登録などソフトウェア設定も簡単。
「従来の3Dピッキングシステムは、カメラとプロジェクタの位置調整をしなければならず、場合によっては専用照明も必要だった。RVシリーズはそれが必要ない」(佐藤主任)。
今後について佐藤主任は、「3Dマシンビジョンは、生産ラインの自動化を進める自動車メーカーや自動車部品メーカーなど、さまざまな業種から要望が強く、急拡大している。今度は大型部品への対応も含めて3次元認識製品を市場に投入していく」としている。