貿易から第一次所得収入へ。稼ぎ方が変わるなか、日本の製造業は何をしていく必要があるのか?
答えは大きく二つ。「さらなるグローバル化」と「国内工場の高度化」だ。
長らく日本企業の多くは国内生産、内需をベースにした営業体制をとってきたが、これからは地産地消、最適地生産を基本とするグローバル企業に脱皮していかなければならない。特に中小企業にとっては生き残るための必須条件だ。
海外の最適地生産が進むと、資材の調達やパートナーも現地優先になる。しかし現地では技術的に要求レベルを満たした企業や技術者を得ることは難しく、大手企業はそこに課題を抱えることが多い。
中小企業にとってはそこがチャンス。単独で海外に出て成功するのは難しいが、大手企業の海外事業を狙い、実績あるパートナーとして一緒にグローバル化に踏み出すことが有効だ。
もうひとつが、国内工場の高度化。スマートファクトリー、IoTやインダストリー4・0など最先端の製造技術への取り組みがカギとなる。
グローバル化を成功させるためには、世界のどこでもQCDを達成できる優れた生産拠点が必要。日本の国内工場は、そのモデルケースを作る実験場としての役割が求められる。
昨年末、経済産業省製造産業局が約2万5000社の製造業企業に対して行ったアンケート調査では、国内企業の立ち位置について6割以上が「海外拠点との差異化を図るための拠点」と回答。具体的な役割として、新技術や製品、価値創造を生みだす「イノベーション拠点」(38.6%)、海外へ移管する生産技術や海外工場のバックアップを担う「マザー工場」(32.1%)、多品種少量生産や短期生産など特殊な要求に柔軟に対応できる「フレキシブル工場」(13.3%)など、国内工場の高度化を重要視している企業は多い。
国内には電力、水道など信頼できる社会インフラがあり、ノウハウをたくさん持つすぐれた生産技術者が社内外にたくさんいる。しかも素材から部品、製造装置など、必要な部材はすべて国内でそろえることができる。こんな恵まれた地域はない。
それを最大限に生かし、製造業の未来の仕組みを作り、世界に持って行ってビジネスを広げる。これが次の時代の稼ぐサイクルになる。