東京エレクトロンデバイス(以下TED)と東京大学情報理工学研究科・石川渡辺研究室は、8ビット階調の映像を最大1000fpsのフレームレートで投影できる超高速プロジェクタ「DynaFlash」を共同開発した。
プロジェクタを使った投影技術は、プロジェクションマッピングやデジタルサイネージ、ARなどリアルな世界での用途が増え、産業用途としても、マシンビジョンや3Dデータと連携させた検査工程でのパターンマッチングなど重要性が高まっている。
これまでのプロジェクタはフレームレートが30~120fpsと低く、投影先はスクリーンなど静止した物体に限られていた。今回、1000fpsの高フレームレート化により、より細かなコマで投影・映像化が可能。高速移動する物体にも遅延レスでほぼリアルタイムでの投影ができる。例えば風にはためく旗の揺れにも投影映像が追従し、まるで印刷されているかのような滑らかな投影を実現している。
利用用途として医療や自動車を想定。手術の手順や指示を直接患者の体に投影してガイドするなど、遠隔医療にも応用できるのではとしている。
同研究室では、高速ビジョンとアクチュエータの高速化を実現し、その次のステップとして表示部・ディスプレイの高速化の研究を進めてきた。同研究所とTEDは14年5月からプロジェクタのフレームレート高速化の共同研究をスタート。DynaFlashは、両者で仕様と全体設計を行い、TEDが回路設計と試作、同研究室が応用システムを担当した。
TEDは16年夏に自社ブランド「inrevium(インレビアム)」で製品化を検討中。FA・検査装置や産業用ロボット、映像メディアやセキュリティなどでの応用を想定している。