IoTやインダストリー4.0を進める上でIT技術者の協力が欠かせない。ネットワーク構築やデータ分析などはIT技術者の得意分野。IT部門の現状はどうなのか?
IPA(情報処理推進機構)IT人材育成本部がまとめた「IT人材白書2015」によると、現在のユーザー企業のIT部門が担当している業務は「全社ITの企画(87.1%)」や「情報セキュリティリスク管理(83%)」、「社内システムの運用管理(72.4%)」がほとんど。IoTやインダストリー4.0で中心となる「業務プロセスの設計」や「データ分析による情報活用」などの業務は、それぞれ43%、46.3%と低く、これらは事業部門が担当している状況だ。
「多くの企業でIT部門が事業部門のニーズに応えきれておらず、事業部門が独自に情報の高度利用を進めている可能性がある」(IT人材白書)。
しかし、その一方でIT部門に期待されている役割を見ると、「業務合理化や省力化への寄与(46%)」、「業務プロセスの改革(42.4%)」や「事業部門との協業や支援(30.7%)」が多い。現在の業務と違い、企業の競争力を高めるための”攻めのIT”に対する貢献への意識が強くなっている。
IoTやインダストリー4.0では情報系と制御系のシステムが連携していく。そこではIT部門のノウハウが必要で、さらに情報系と制御系をすり合わせてシステムを構築していかなければならない。情報系・制御系の枠を超え、製造工程の効率化やプロセス改革を進められるIT人材の活躍の場が広がっている。