そんななか”必要な時に、必要なモノだけをピンポイントでつなぐ”村田機械(京都市伏見区竹田向代町136、TEL075-672-8111、村田大介社長、ムラテック)のVPN管理システム「GriDRIVE」は、ひとつのお手本になるかもしれない。
VPN(Virtual Private Network)は、インターネットを跨いでセキュアなプライベートネットワークを拡張する技術。本社と営業所、工場といった閉じたネットワーク間をインターネットでつなぎ、ひとつのネットワーク内にいるかのように情報のやり取りができる環境を構築する。
古くは専用線が使われたが、今はそれがインターネットに置き換わっている。
たくさんのVPNサービスがあるが、ほとんどが「つなぎっぱなし」。一見、いつでもつながることは便利そうだが、セキュリティの観点からすると、常に扉が開いた状態はとてもリスキー。製造業で使うには心配だ。それを逆手にとったのが、同社の「GriDRIVE」だ。
専用端末をルーターにつなぎ、特定のモノ同士を必要な時だけつなげられるサービス。一時的に限られた部分だけ回線を開く仕組みで、セキュリティリスクが低く、通信費などランニングコストも少なくて済む。産業向けに最適で、実際に装置に対する遠隔保守サービスに使われている。
「加工機械をはじめ、製造装置は据え付けて安定稼働するまでが重要だ。しかし、ずっとメンテナンス業者が張り付いている訳にもいかない。だからといって遠隔保守のために外部にネットワークを開放するのもリスクが高い。その解決策としてGriDRIVEを導入するケースが多い」(情報機器事業部ICTソリューション第二グループ池野吉彦グループリーダー)。特に海外輸出が多いメーカーには好評だという。
さらに、最近多いのが装置の稼働監視や最適化に使うケース。セキュアな環境を維持したまま現場でデータを録りため、クラウドにアップする時だけ回線を開く。最小限のセキュリティリスクでデータ収集ができると好評だ。
池野グループリーダーは「いまはリアルタイム分析をするわけではないので、常に回線を開いておく必要はない。まずは安全にデータを集められる仕組みが大事だ。データを2次的に活かすのはこれから。当社にはFA事業部があり、工場がある。そこで培ったものを外にうまく展開していきたい」としている。