富士電機は、パワー半導体の新製品として、第7世代「Xシリーズ」IGBTモジュールのサンプル出荷を8月から開始した。定格電圧は650、1200、1700Vの3機種。
新製品は、IGBT素子およびダイオード素子の厚みを薄くし微細化することで、素子構造を最適化。これにより、従来製品(同社第6世代「Vシリーズ」)に比べてインバータ動作時の電力損失を低減し、搭載機器の省エネと電力コスト削減に貢献する。
また、新たに開発した絶縁基板を適用し、モジュールの放熱性を向上。電力損失低減と併せて発熱を抑制することで、従来モジュールに比べて約36%の小型化を達成している。
さらに連続動作時の最大保証温度を従来の150℃から175℃に高めることで、搭載機器のサイズを維持しながら出力電流を最大35%増やすことが可能となった。これらにより機器の小型化とトータルコスト削減につながる。
そのほか、モジュールの構造や使用材料を見直し、高温動作時の安定性や耐久性を高めたことなどで、搭載機器の信頼性向上にも寄与する。
IGBTモジュールは、モータ駆動用インバータや無停電電源装置(UPS)、風力・太陽光発電設備用パワーコンディショナなどの産業用機器に搭載され、省エネや電力の安定供給を実現できる。
市場規模は2016年に約4262億円となり以降、年率6・0%の成長が見込まれている。