ボールミルに発熱はつきもの。通常は材料に熱ダメージを与えてしまうが、ナガオシステム(川崎市麻生区片平1-9-30、TEL044-954-4486、長尾文喜社長)の3Dボールミル「3D-180」は、3次元の回転で熱を発生させず、粉末の特性そのままに微粉砕が可能。またミキサーのような使い方もでき、研究機関などを中心に採用が広がっている。
材料をナノレベルまで細かくすると、それまでにない特性が出ることがあり、近年はナノ粉末への注目が集まっている。しかし、通常の回転運動のボールミルだと発熱が大きく、材料に熱ダメージを与えてしまい、思ったような結果が出ないという声が多い。それを解決したのが、同社の3Dボールミルだ。
同製品は横495ミリ×高さ550ミリ×奥行き420ミリで、重量48キログラムのコンパクト設計の卓上型。二つの回転軸を持ち3次元にランダムで回転。投入した材料に均一にエネルギーを与え、効率的に微粉砕できる。
材料の発熱を抑え、乾式粉砕時も固形化が少なくて済む。
実際に各種研究にも広く使われ、例えばセシウム汚染土壌の減容化研究では、同製品で土壌を微粉砕して汚染した部分とそうでない部分を分級。土中放射線量の減少につながった。
また高性能ミキサーとしても効果的に使われている。例えば発泡酸化物の製造試験では、アルミナ粉と水、ゼラチンの混合物を混ぜた後に硬化させたところ、多孔質で比表面積が高い発泡アルミナの生成に成功。触媒などへの応用が考えられると評価された。
また同様に窒化チタンと水、ゼラチンを混ぜたものを混合し固化。生成した物体は100Ωから200Ω導電し、焼結せずに窒化チタンの固体を作ることに成功。
ミキサーの発泡効果により、軽量金属や発泡電解質への応用などにも期待されている。