富士電機機器制御の新社長に、森本正博取締役が6月に就任した。就任にあたって森本社長は「製品開発体制を強化し、ニーズに応えたひとひねりした製品を提供していきたい。シュナイダーとの協業で、いままでにないフィールド、ユーザーにも販売を広げていく」と、今後への抱負を語った。
-社長就任の抱負をお聞かせください。
「当社は、富士電機と仏・シュナイダーエレクトリックの合弁会社として、エネルギーを使う社会の安全・安心を支える製品を提供している。これまで営業、生産の体制を重点的に強化してきたが、これに加え、昨年末に吹上事業所(埼玉県鴻巣市)内で「テクノラボ」という開発試験棟が稼働し始めた。主力製品の開発スピードの25%アップを目指す。これからは攻めの経営として、新しい製品をどんどんお客様に届けていきたい。また、国内外に製造と販売会社を抱えており、お互いの多様性を生かしながら事業を進めていくが、グローバルな展開を牽引するような役割で経営にあたりたい」
-10年後に目指す会社の姿を教えてください。
「我々が扱う製品は成熟した部分もあり、これまで日本のマーケット中心に展開し年数%ぐらいの伸びで推移してきた。今後事業を大きくしていきたいが、そのためには現在のシュナイダーとの協業のほか、シーズがあればM&A(買収・合併)なども考えていきたい」
-シュナイダーとの協業は今後どんな展開になりますか。
「シュナイダーは、PV(太陽光発電)など新エネルギー向けの直流製品のほか、中圧機器、監視カメラ、バスダクトなど当社にない製品を備えている。これを今までにないフィールド、お客様に役立つように提供していきたい。それに付随して、当社の従来から持っている製品の拡販にもつながってくると思う。
現在の海外売上高比率は約25%であるが、30%まで高めていきたい。海外営業を長くやっているが、これからも市場が求める製品、シュナイダーにない製品、当社の特徴ある製品で、売り上げ、シェアを伸ばしていきたい」
-具体的にはどんな製品をお考えですか。
「アジア市場で欧米メーカーは、製品を品質、機能、価格で2階層の品揃えをする取り組みを行っている点が目立つ。当社も同様に幅広い製品ラインアップを生かし、中国、アジアの新興国市場で戦っていく。
一例として今年から中国市場で『静音コンタクター』を販売している。エレベーター、ホテル、病院、学校などのコンタクターが稼働する時の音を静かにしたいというニーズに対応している。顧客のニーズに深く耳を傾けることでこういった製品が生まれる。コンタクターはコモディ製品であるが、これからのニーズを聞いて開発方法を変えていく。もう少しひとひねりできないか、お客様の要求を満たし、差別化した製品を展開していきたい」
-インダストリー4.0やIoTなど新しいコンセプトをどう見ていますか。
「各国が色々な考えでやっている。すべてをシステムにつなげるというコンセプトだけに、当社としてこれにどうやって対応していくかというひとつの難しさがあり、取り組みを検討していく」
国内外の拠点整備を進めてきましたが、今後の計画はどうなっていますか。
「当社のメイン製品であるコンタクターを作っている吹上工場は老朽化している。新しい製品ロードマップに則った形で新建屋建設も視野に入れた投資も考えていきたい」